内容説明
百年以上も前、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を著し、彼は資本主義の行く末を予言していた。経済と文化の発展の末に「精神のない専門人、心情のない享楽人」が跋扈する。二十世紀とは何だったのか?今日の混迷する世界の難問を解く鍵は?ドイツの偉大な哲人の生涯を丹念に辿り、その壮大な思想を読み解く評伝大作。選書版で、登場。
目次
強力なる官僚と無力なる議会
日本の仏教を洞察した西欧の眼
ハイデルベルクの決闘学生
シュトラスブルクの新兵訓練
ビスマルクへの疑問
「プロイセン」と日本の運命
明治憲法とドイツ憲法学
ゲッティンゲンの猛勉強
司法書記官試補の悪戦苦闘
上級官吏試補の愛と苦悩
新進教授の夜明け前
教授就任講演の大反響
学問と政治の迫間で
オイディプスの悲劇
深まる地獄の季節
「修道院」に見た資本主義の原型
研ぎ澄まされる「方法論」の刃
二十一世紀の進路を示す傑作
M・ウェーバー アメリカを行く
資本主義という「運命」
著者等紹介
長部日出雄[オサベヒデオ]
1934(昭和9)年青森県弘前市生まれ。週刊誌ライター、映画批評家を経て作家となる。1973年『津軽世去れ節』『津軽じょんから節』で直木賞を受賞。のち他作品で、芸術選奨、新田次郎文学賞、大佛次郎賞、和辻哲郎文化賞を受賞。該博な知識と取材力を生かした評伝に定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イプシロン
42
社会において実態化し、概念化できるもの全般について取り扱うのが社会学であるなら、実態化せず概念化されない範疇(哲学における形而上の命題)をヴェーバーがどう考えていたかが読みとれたのは大きな収穫だった。そして彼の哲学的思想の基は意外にも古典的で至極まっとうである。つまり、デルポイのアポロン神殿の入口に刻まれた「汝自身を知れ」であり、カント哲学の『純粋理性批判』にある「われわれは、ものそれ自体を知れない」という、あの認識論であるからだ。このような命題に多くの人々が向き合わない限り、世界は終末へと向かうだろう。2019/10/31
takao
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ふむ2019/01/18