出版社内容情報
辻が意中の絵師たちについて書けば、村上はそれを換骨奪胎・新作を描きおろす。美術史家×アーティストの奇想天外二十一番勝負!
内容説明
美術史家・辻惟雄が意中の絵師たちについて熱きエッセイをものすれば、こなたアーティスト・村上隆はそれを受けて立ち、くだんの絵師の作品を換骨奪胎、新作を描きおろす―「芸術新潮」誌上で21回にわたって繰り広げられたバトルロイヤル状態の熱闘が、ついに“とんぼの本”になりました。
目次
狩野永徳
伊藤若冲
葛飾北斎
ふたたび伊藤若冲
絵難房
曾我蕭白
白隠慧鶴
ファリシズム
鳥居強右衛門勝高逆磔之図
井上有一〔ほか〕
著者等紹介
辻惟雄[ツジノブオ]
1932年、愛知県生まれ。美術史家、東京大学・多摩美術大学名誉教授。1961年、東京大学大学院博士課程中退。東京国立文化財研究所技官、東北大学文学部教授、東京大学文学部教授、国立国際日本文化研究センター教授、千葉市美術館館長、多摩美術大学学長を経て、現在はMIHO MUSEUM館長
村上隆[ムラカミタカシ]
1962年、東京都生まれ。美術家。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。在学中より作家活動に入り、1996年にはヒロポンファクトリー(現カイカイキキ)を設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミエル
21
辻先生と言えば、学生時代物凄くお世話になった(もちろん初歩教材として)生き神様みたいな方。その辻先生と鬼才・村上隆の美術概論。しかも、とてもフレンドリーで柔らかい。私にとってはドリームマッチな素敵な本書は、やはり期待どおり。作品に纏わる辻先生のエッセイと、村上氏によるオマージュ作品の構成も往復書簡風でいい。御二方のやり取りに読み手も参加できた気分。やはり近世美術のおおらかさは現代美術との相性がいい。第2弾もお願いしたい。2019/11/07
小鈴
19
辻惟雄の問いにたいして村上隆がアートで回答するタイマン企画。文字通り体を張った作品もあるので面白かった。村上の逆さ釣りを見て鳥居強右衛門高逆磔之図はやはり逆さ釣りだと確信した(笑)。鳥居の髪の毛もワキ毛も上を向いてるもんね。村上の話によれば荒川修作が絶頂期のホリエモンらIT長者にプロジェクトへ投資しろと手紙を書いて返事はなかったという話が興味深く。リーマンショック前までヒルズのアートといえば村上隆だったけど、彼に投資したのは森ビルと海外の金持。日本の成り上がりはアートではなくなんで宇宙に向かうのか。 2018/10/30
kiho
13
面白い⭐美術に詳しくなくても楽しめました!美術史家の辻さんの豊富な知識と真っ直ぐな自論に、時に脅威を抱きながらも作品で受けてたとうという村上さんのドタバタ感…どの村上作品も天晴れすぎました♪2015/08/22
わらわら
8
美術史家辻惟雄氏と美術家村上隆氏とコラボ本。辻氏が紹介する絵師や芸術家、そしてその作品群たちの文章が巧みで面白い。それに答える村上氏のメール文章も実に愉快である。紹介された文や作品に則って、村上流の作品(絵合わせ)が愉快である。(素晴らしさもある)五百羅漢、辻氏は絵師狩野一信よって魅せられたと記述している。私は村上氏によって五百羅漢に魅せられている(もちろん辻氏とは雲泥の差がある。)日本美術史は楽しい、この本はめっちゃ為になり、面白く芸術を知り、歴史を知り、仏教を知ることができます。2016/01/24
みのくま
7
超絶豪華な本。辻惟雄の美術エッセイに村上隆がアートで応答するというむちゃくちゃ大変そうな企画で、感心しながら読んだ。とはいえ村上のアートの良さがいまいち伝わらなかったのも事実。伊藤蕭白や若冲、狩野派を「元ネタ」に村上がアートを制作するのだが、やはりどう見ても一次創作物の方がパワーがある。村上の土俵はオタク文化なので仕方ないといえばそうだが。しかし本書終盤は伝説の「100m五百羅漢図」制作に入り一気に緊張感が増し、辻の五百羅漢の見事な解説から巻末に折り込みページで完成作が掲載されていて感動した。実物が見たい2020/11/01