内容説明
ミステリアスでストレンジ、そしてどこにも似ていない―フランス人ならではの“独創”が生み出した不思議な空間は、辛辣で容赦ない美意識が凝縮された世界。身分に関係なく素人や王様が追い求めたその世界は、時代をこえて残された夢の痕。60の“奇庭”の物語が、旅にいざなう。
目次
第1章 逸脱の小宇宙
第2章 愛の洞窟、恋の泉
第3章 エディフィスの庭
第4章 幾何学の迷宮
第5章 見果てぬ夢の異境
第6章 都市を癒す庭
庭園リストと地図
著者等紹介
横田克己[ヨコタカツキ]
エディター&ライター。1949年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1976~1983年、旅行社の駐在員としてパリ滞在。1984年、フリーの雑誌編集者兼ライターに。1997~2003年、パリに拠点を移す。フランスを中心に、ヨーロッパ、カリブ、アフリカ地域の建築、デザイン、庭園、古美術などの取材に従事している
松永学[マツナガマナブ]
1960年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。(株)日本デザインセンターを経て渡仏、パリ在住。主に雑誌を中心にヨーロッパ各地で撮影。紀行ルポルタージュ、著名人ポートレートと広い分野で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
399
文はフランスを中心に活躍する横田克己氏、写真はやはりパリを拠点にヨーロッパ各地で撮影する松永学氏。写真が残念ながらこうした庭園といったようなランドスケープを撮るには迫力不足。ややもするとスナップ写真のような印象を与えかねない。ここではフランスの様々なスタイルの庭が紹介されるが、中心となるのは前半の綺想の庭だ。誰しもがすぐに想起するのは「郵便配達夫シュバルの理想宮」だろう。本書にはそれ以外にもイジドールの「ピカシェットの家」やロベール・タタン美術館など百花繚乱。フランスの庭園文化の奥深さを知ることになる。2021/03/22
Roy
14
★★★★☆ モザイクの緻密さに吐き気をもよおし、草木・花・水などの自然との絶妙な配分の庭に感激し、幾何学庭園と呼ばれる「不思議の国のアリス」的に植木が迷路のようになっている庭を見て色々とふしだらな夢想をする。そんな本でした。昨晩TVで大好きな日本画家・松井冬子が「計算されて出来たものが芸術」と、言っていたのだけれども、こういう奇想庭園も計算されて出来た芸術なんだ、と。個人的に好きか嫌いかは別として素晴らしいですね、お宅様のお庭。2009/02/20
安南
12
この過剰さ、この情熱、名もない人たちが偏執狂的に作り上げた庭々に幻惑される。若い時分に欧州旅行をした際、どうしても見ておきたかった郵便配達夫シュヴァルの理想宮。実際かなり不便なところで日に数本しかないバスに乗り、目にした感動は忘れられない。ブルトンが絶賛したというシュルレアリスムを具現化したような構造物。懐かしい思いで手に取る。他に、大量のモザイクで埋め尽くされた墓守りピカシエットの庭、移動遊園地を再現した牛追いピエールの庭など…逸脱の小宇宙の数々。洞窟についての考察もおもしろい。2013/02/17
HIDE
11
奇妙な庭がいろいろ載っている本。美と一言にいってもいろいろな美があることが判った。2012/06/24
ぷう
8
奇想天外なにわあり、たのしめた!この目でみてみたくなる。2013/02/28