内容説明
星野の実姉の紹介で初めて対面した91年暮れ―星野道夫39歳、萩谷直子22歳。翌3月にはプロポーズの言葉を残し星野は再びアラスカへ発つ。その夏、直子は星野の誘いで初めてアラスカを訪れそこが星野と共に自分が生きていく場所であると確信した。以後、愛息の誕生を経て人々に強い衝撃と悲しみを与えた事故までの短くも、宝石のように輝いていた二人の時間を今、夫人が初めて語る。
目次
出会い
夢と花
オーロラの国へ
新しい生活
野の花を撮りに
カリブーの心臓
クマのいびき
アーミッシュの村へ
初めての冬
うれしい知らせ
天使を待つ間
ウェルカム・ベイビー!
運命の出会い
ボブ・サムとの夏
お父さんになって
家族旅行
「カーツ」の謎
見果てぬ夢
著者等紹介
星野道夫[ホシノミチオ]
1952年千葉県に生まれる。慶応義塾大学卒業後、動物写真家・田中光常氏に師事。78年語学習得のため渡米、同年アラスカ大学入学。以後、アラスカを生活の基盤にして撮影・執筆活動をする。96年、カムチャツカ半島にてヒグマの事故で逝去。90年木村伊兵衛写真賞受賞
星野直子[ホシノナオコ]
1969年東京都に生まれる。短大卒業後、書店勤務。91年星野道夫と知り合い、93年結婚。94年長男・翔馬出産。夫の死後、長男と共に日本とアラスカを行き来しながら、星野道夫事務所にて作品の管理を務める
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ひのきの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
167
星野夫人(直子さん)による星野さんと出会ってからの回顧録。星野さんの仕事(写真とエッセイ)からはあまり知ることができない家族との思い出を知る事ができる貴重な本。年譜形式でまとめられており、私が二人を知っている時期も含まれており、ここに書かれている帰国時に教会に来られたのだなとか、色々と二人の事を思い出してしまった。星野さんが半袖Tシャツを着ている写真に違和感を感じたので、考えてみると星野さんが日本に帰国した時はいつも冬で、トレードマークのセーターとジーンズを着ていた星野さんしか見たことがないからと2017/11/12
美登利
91
写真家星野さんの作品の名のCafeで、星野さんの写真集や旅行記本がありその中の読んだ1冊です。以前星野さんがヒグマに襲われて亡くなったのを知りました。テレビロケ中で沢山の人がいたけれど、不幸な事になってしまった。奥様が星野さんとの出会いから、アラスカに移り住み、日本とも行き来をし息子さんを産んで2歳くらいの時に、命を落とされたのです。この本は星野さんの温かい動物への視線が感じられます。たった数年の夫婦生活でしたが大きくなった息子さんと今元気で暮らしていると聞いて涙です。とても無念でしたでしょうに合掌。2019/09/01
ふう
80
星野氏が亡くなって10年ほど後に書かれた作品。いっしょに暮らした3年間をていねいに振り返り、温もりと寂しさを抱きながら書かれたのでしょうか。アラスカへの思いを押しつけることなく、ゆっくり出会いの場を設けた様子に、星野氏のおおらかさと思慮深さを感じました。『いきなりカメラを構えるのではなく自分の目でじっくり見て、マインドの部分で関わってから撮る』その思いがたくさんの写真から静かに伝わってきました。遠い昔、シベリアとアラスカが氷の大地で繋がっていたように、二人の思いも、わたしたちの思いもきっと繋がっているはず2016/12/07
ぶんこ
59
星野さんの奥様が想い出を綴っている本。「壮大な風景の一部として動物を撮った写真が好き」とのこと。グリズリーの親子を撮った写真も、壮大な風景で魅了されました。結婚して間もない頃、カリブー撮影隊に同行したキャンプで、カリブーの解体を最初から最後まで目の当たりにした直子さんは、目を逸らすことができないほど感動された。それを読む私も感動。星野さん最期の時を知っているだけに、妻の妊娠で「日々生きているということは、当たり前のことではなくて、実は奇跡のようなこと」と話す星野さん。熊を恨んでいない直子さんが素敵。2022/08/25
みほ (o^-^o)
51
皆さんのレビューに導かれて。ずっとどんな方なのだろうと思っていた星野道夫さんの夫人が、初めて語った短くも濃密な道夫さんとのアラスカでの日々。アーミッシュの村を訪れたとき、カメラもメモも持たず、ただその瞳に、その心に風景を刻み込み、後にあれだけの文章で著せる星野さんの素晴らしさ。ずっと動物たちの家族を孤独に見つめ続けた星野さんの「家族」への憧れ。道子さんとの出会いと翔馬くんの誕生に、どれだけの幸せを感じていたのだろう。彼の写真は勿論のこと、言葉の選び方に魂の尊さを感じてしまう。あぁ、お会いしてみたかった。2016/09/02