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出版社内容情報
画家の評価、作品の解説、生涯と時代を対照した年表に最前線の研究成果を生かし、全32図で画家の全貌をつかむ。
目次
作品
生命にふれて―中村彝の人と作品
年表=中村彝とその時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みほ (o^-^o)
40
大正期に結核と戦い、実らぬ恋に悶え苦しみながらも、命をかけて画業に取り組んだ中村つねの画集。「自我を生かせとはまるで生き急げということと同じようだと見えてしまう。絵と生き方が合わせて一つというようである」特に肖像画が素晴らしい。「エロシェンコ氏の像」は最高傑作。「田中館博士の肖像」は表現はルノアールだが人間理解はレンブラントに迫るという。「少女」の奔放さとまばゆい命に圧倒され、「帽子をかぶる自画像」はドラマチックに何とも魅力的、「頭蓋骨を持てる自画像」は孤独な精神性が胸を衝く。本物を見てみたい。2016/09/11
oz
4
初読。中村彝(1887〜1924)は洋画家。水戸生まれ、愛国少年で陸軍幼年学校に学ぶが17歳で宿痾の結核を発症し退学。転地療養先でスケッチを始めるとこれに没頭、太平洋洋画会で本格的に洋画を学び、頭角を表わす。初期は画塾の方針で写実至上主義を信奉するが、次第に不満を抱くようになる。日本にルノアールら新思想の画家が紹介され始めると傾倒する。生命感が画布上から横溢するような絵は、しばしば自信の死の合理化とされる。結核により早世。結核での死が多い大正画壇だが、中村に絵筆を取らせたのもまた結核であった。2014/10/13
Masa
1
図書館を歩いていて偶然見つけた文庫です。丁度寝る前、布団の中で眠りに落ちるまでの数分を過ごすにはジャストの大きさです。中村彝の作品で知っていたのは「エロシェンコ氏の像」だけ。 「婦人像」「少女像」は「自画像」と比して何と魅惑的なのか。モデルの俊子も26歳と短い生涯で、彝の生涯に悲劇性を帯びさせています。ルノアールやセザンヌの印象派から学んだ作品から最後の「老婆像」まで、芸術家の技法は変遷するものです。2024/05/25
ワタナベ読書愛
1
1997年刊行。明治20年生まれの洋画家の作品と人生を紹介する画集。執筆:原田光(学芸員)。大正13年、37歳で結核のため死去した画家の、まるで生き急ぐような人生と作品。ここでは制作の早い順から紹介されているが、画集に乗らない、現在残っていない作品などが膨大にあったと思われる。当時は死病とされた結核に早くから侵され、人生の残り時間をいつも感じながら制作に没頭した筆者。思うとおりにならない人生。周囲の人の反応。本人の葛藤と周囲との関係も含めて作品を鑑賞した。東京にアトリエが残っている。画家の人生を追体験した2021/09/07
gtn
1
やはり俊子像が情熱的である。彝も俊子も。2018/04/01