内容説明
現代詩は解らない、と言う。やはり高いアンテナが必要だ。即ち過去から現在までの詩史的検証。それによって見えてくる真実がある。詩でないもの『非詩』が、いかにその大胆な「越境行為」で未知の言語の喜びをもたらしたか。日常レベルの実用性を離れることで、魂の奥深くに眠る“肉声”を、詩人は掴み出す。凡百の入門書よりも詩史こそは大きな理解の支柱。これはその支柱を強化する検証の一サンプルのつもり。
目次
第1章 近代詩の出発
第2章 「幽趣微韻」の世界へ
第3章 自由詩の誕生
第4章 前衛詩の時代
第5章 プロレタリア詩の運命
第6章 モダニズムから「戦争協力」へ
第7章 戦後詩の祭典
第8章 抒情の変革
第9章 ひとつの転換期に
第10章 「詩」と「非詩」のたたかい
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
9
明治の「新体詩」としての始まりから平成の定形論争あたりまでをフォローした詩史の試み。といってもこの紙幅で記述し尽くせるものではないので大づかみに歴史を眺めるに留まるが、それでも詩の発展がどのような力学に支えられてきたのかはよくわかる。思想的背景と実作が突き合わされており、なんというか手元にあれば非常に便利な一冊。「詩は、つねにそれまで非詩(詩ではない)とされたものによって、その歴史を革める。」2015/01/07
misui
4
再読。忘れてしまうので定期的に読み直したい。2017/10/22
nightU。U*)。o○O
1
近代詩の誕生から現在までの国内詩史を一冊に網羅している。その都度の主流から前時代の詩人の活動といった傍流まで子細に書き残している。この本を読めば、個人的な長年の疑問――なぜ最近は大正時代のような小曲風の抒情詩が少ないのか、という疑問が解けたように思う。日本の詩は、とても短い間に要所要所で前の時代の詩を亡き者にするために、常に新しく進化し続けてきたのだ、と言うポイントは作者も意識していると思う。2014/01/30
周利槃特
0
詩史に関しての本は読んだことがなく初めて読んだ。引用も多く解説も充実しておりタイトル通り詩とは何かを知る最初の一冊としてよかった。2018/06/06