内容説明
天下をとるために、宿敵に勝つために、戦国武将たちは呪術を巧みに操り、占星術、風水、夢占いなどを信心しながら生きていた。毘沙門天や摩利支天の軍神信仰、合戦に暗躍した陰陽師、昌してはならない禁忌や怨霊封じ、合戦前夜に食す勝運献立、蘇民将来など護符の効用…乱世に跋扈した呪術や占筮のすべてを解き明かす。日本史の闇を照射したスリリングな傑作。
目次
第1章 神仏と向き合った武将たち
第2章 呪術者がリードした合戦
第3章 呪術合戦と軍配者
第4章 戦場のマインドコントロール
第5章 呪法・縁起かつぎと禁忌
第6章 怨霊の崇りと怨霊封じ
第7章 戦国の城と呪いの世界
第8章 呪符と護符の戦国史
終章 戦国武将にとって呪術とは
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
M.O.
20
占星や呪術、神仏が戦国時代にどのような存在であったか。著者は小和田先生。大変面白かった。戦国時代は実力が全ての時代かと思いきや、あの織田信長でさえお抱えの呪術者がいたり毛利元就に至っては軍略の話し合いがまとまらなかった時は最後は呪術者の意見で決めていたようだ。古文書に記録として残っているのが興味深い。また合戦前には神前で連歌を奉納したり、おみくじを神意ととらえ現代より重きをおくなどリーダーは呪術を日常的に活用していたようだ。上杉謙信の毘沙門天崇拝は有名だが合戦ばかりの日々、心の拠り所だったのだろう。2022/05/13
デビっちん
15
「富国強兵」的と思われがちな戦国時代も、その裏では武将が神仏を拝み、占筮や占星によって軍事行動を決めていたことが述べられていました。戦力が充実しているから勝てるわけではないのです。例えば、桶狭間の戦があります。占いによって、戦に出るべきか否かを決めていたのです。2021/08/29
しゃむ・しゃむ
2
命を掛けて戦う時、人は神仏にすがるのだろう。戦国の戦いに同行した陣坊主、参謀の役割を果たした軍配者。おみくじに大好きな島津家などなど。先陣を誰が勤めるか、三人がかりで首を落としたら誰が誉を貰えるのかなど、神様に任せることで無用な諍いが消えることもある。戦いの中で営まれた様々な呪術的な事例を紹介する本。2016/06/05
にゃんぶ
2
軍師のイメージが変わった。天気よんだり占いしたり。日が悪いとかって出陣を取りやめる武将もいたり、戦国時代でも平安貴族から進んでない部分があってびっくり。島津…攻めるルートやら攻め方までおみくじに頼っていいんかい?島津が田舎っぺだからなのか、都会武将もそうだったのか気になる!川中島の戦い中の、信玄と謙信の神仏への願文が読み下しで載ってる。信玄は神宛てとは思えないくらい自信満々な感じで、謙信はくどくどと理詰めな感じ。性格の違いがよく分かっておもしろかった。2014/05/10
冬至楼均
1
籤で戦の日取りや方角を決めていたのは、家中の意見対立を纏める為に天意に従うと言う合理的な判断。現代の政治家が選挙で民意を問う事に通じるらしい。2025/05/15