内容説明
歴史、舞台構成から観劇法まであらゆる知識を満載し、中国人の情念の世界を解き明かした本邦随一の京劇本。
目次
頭本 京劇亮相―京劇とはどんな芝居か
第2本 弁証戯改―中国共産党は京劇をどう改革しようとしたのか
第3本 戯台女皇夢―江青、権力への途
第4本 慰撫精魂―ある京劇役者の生と死、そして芸
第5本 弦外有音―我が「戯迷」への道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
12
1970年代初めに香港に留学して同地の京劇に熱中、虜になった人の本。私も兌換券時代上海で四郎探母を観た事があり、中国映画では素人京劇を題材にした「北京好日」が最も好みである。京劇の歴史と構成の梗概が本書前半にあり、その初歩的理解に役立つ。しかし本書記述の過半は毛沢東の整風運動と反右派闘争、更に文革と江青による破壊の模様で重苦しい。本書の出版は改革開放期で、人民教化を直接テーマとする革命京劇は下火になったとの内容だが、人民に災危を齎した毛沢東に再び戻ろうかとする習近平下の京劇については、新たな情報が必要だ。2024/09/04