内容説明
海は船の通る道であると同時に、物いわぬ漂流物の道でもある。著者は漂着物を探して縄文・弥生時代にまで遡り、文献史料にも注意を怠らず、また漂着物のルーツを尋ねて、沖縄やフィリッピンにも渡った。島崎藤村が「梛子の実」で歌いあげた黒潮と望郷のロマンは、国際交流の海辺の民俗学、そして考現学として結実した。本書は興趣あふれる「漂着物学」への誘いの書である。
目次
第1章 流れ寄る梛子の実ひとつ
第2章 黒潮に乗って
第3章 海漂器が語るもの
第4章 漂着物追跡
第5章 陶磁の道
第6章 漂着物エピソード
第7章 漂着物を求めて
第8章 北の動物達
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のうみそしる
1
波はよせ。波はかえし。海流と漂着の浪漫に取り憑かれた男の執念。海漂器、アオイガイ、沖ノ島の神主日誌など、新たなる発見だった。第六章までは冷静だったが、いざ漂着物の出元に向かうと「元の場所に戻れるか不安であったが、はるか下に見える砂浜と礫質海岸に、漂着物が私を呼んでいる。」と熱く滾る著者がステキ。地名が全然読めない。2025/08/21
杣人
1
筆者の漂着物蒐集にかける情熱は並大抵のものではない。様々な土地を歩いて物事を考え、問題を立てる。そんな研究を自分もやってみたい。2022/08/08