新潮クレスト・ブックス<br> 名前のないカフェ

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新潮クレスト・ブックス
名前のないカフェ

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  • サイズ 46判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105902063
  • NDC分類 943
  • Cコード C0397

出版社内容情報

その店には、居場所のない人々が集まった。ささやかなぬくもりを求めて――。戦争の名残をとどめるウィーンで、孤児院で育った男が開いた小さなカフェ。市場で身を粉にして働く者、盛りをすぎたプロレスラーなどそれぞれ孤独を抱えた人々が、束の間の居場所を求めて集まる。ドイツ語圏のミリオンセラー『ある一生』の著者が描く、働くことと生きることのかすかな輝きが静かな感動を呼ぶ長篇小説。


【目次】

内容説明

孤児院で育ち、十五歳で学校を去ったローベルト・ジーモンは、自分の体ひとつでできる市場での日雇い仕事が好きだった。だが、ある日ジーモンは人生を前に進めたいという思いに駆られ、店主が行方不明となったカフェを借りることにする。名前もつけないまま始めたカフェは、わずかなメニューしか供さないものの繁盛し、さまざまな身の上の人々が集まるようになる。戦後の発展のなかで取り残されていく人々を、冷静な筆致で、愛情深く描く長篇小説。

著者等紹介

ゼーターラー,ローベルト[ゼーターラー,ローベルト] [Seethaler,Robert]
1966年ウィーン生まれ。俳優として数々の舞台や映像作品に出演後、2006年『ビーネとクルト』で作家デビュー。『キオスク』などで好評を博す。2014年刊行の『ある一生』は、ドイツ語圏で100万部を突破。2015年グリンメルズハウゼン賞を受賞。2016年国際ブッカー賞、2017年国際ダブリン文学賞の最終候補に。2018年刊行の『野原』は、「シュピーゲル」誌のベストセラーリスト1位を獲得、ラインガウ文学賞を受賞。名実ともにオーストリアを代表する作家の一人

浅井晶子[アサイショウコ]
1973年大阪府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位認定退学。2021年日本翻訳家協会賞翻訳特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

90
『ある一生』『野原』に続き、ゼーターラーさん3作目。『名前のないカフェ』は前2作の中間のような作品で、恵まれない出自で働き者の男ジーモンを軸に、彼が60年代にウィーンの下町でカフェを開き、常連客が賑やかに集まり世間話に興じ、やがて閉じるまで、人々の人生の断章の集合を描く。ゼーターラーさんは一言も感傷的な文を書かないが、この庶民的なカフェの存在のかけがえのなさは切々と伝わって来る。ちょうど池内紀さんのウィーンの本や欧州でのコーヒーハウス文化の本を読んでいたのでその文脈でも面白かった。 2026/05/21

pohcho

60
1966年のウィーン。孤児として育った31歳のジーモンは市場の半端仕事をして暮らしていたが、ある日、カフェを開業することに。ウィーンで最も貧しく薄汚い地域の一つにあるそのカフェは、わずかなメニューしかないものの繁盛し、さまざまな身の上の人々が集まる場所になっていく。戦後の発展から取り残されて、居場所を失い年をとっていくばかり。そんな人々の心のよりどころになった名もなきカフェ。そこには多くの人々の人生があった。心にしみいる物語。ジーモンと未亡人とのやりとりが好き。2026/05/13

ヘラジカ

50
『キオスク』『ある一生』『野原』と短くシンプルながらも、琴線に触れる作品を生み出し続け、更には翻訳もされ続けてきた作家の新作。やはり良かった。素晴らしかった。戯画化されていない、ありのままの、ちっぽけな人々の生。人間の儚さを描かせたら、現代ではゼーターラーの右に出る作家はいないのではないかとすら思う。改めてこの作家の作品は余白の文学だと感じた。文章では表されてない隙間に、確かに脈動するものがあり、それが堪らなく切なく愛おしい。忘れた頃に新しい作品が読めることを感謝したい作家のひとりだ。2026/03/02

Hiro

43
装丁に惹かれ、さらに新潮クレスト・ブックスならきっと好みに合うだろうと思い、図書館で借りてみた。カフェの店主と、それぞれ事情を抱えながら訪れる客たちとのやり取りが静かに描かれている。作中に登場するラードを塗ったパンは最初あまり想像できなかったが、調べてみると意外と美味しそうで気になった。サワードーに塗って食べてみたい!読後に、この本と一緒に借りた「ポルトガル限界集落日記」の著者が本作の翻訳者だと知り、ちょっとした繋がりに驚いた。2026/05/29

M H

28
戦後のウィーンで孤児院育ちの男が開いたカフェ。名前のないそのカフェに孤独を抱えた人が集まり、束の間の時を過ごす10年。時代の移ろいを見せながら、距離感を保った静謐な筆致は「ある一生」「キオスク」にもあった。冷徹なようで根底で人間の善性を信じる眼差しも。無念でも割り切れなくても人生は続いていくし、続けられるだろう。蝋燭のようにほのかな温かさが残る。2026/04/10

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