出版社内容情報
美術業界と保存との葛藤を鋭く描き、20以上の賞を受けた衝撃のデビュー作。ルーヴルの至宝を500年前の素顔に戻せ! 古きを愛する学芸員オレリアンは、実利優先のヤリ手新館長ダフネに無茶ぶりされた修復プロジェクトの旅に出る。国家をも巻き込む大騒動の末、姿を現したモナ・リザの本来の顔とは? 視覚情報に溢れたSNS時代に、美とは何か、本物とは何かを問いかける絶品アート小説。
内容説明
ルーヴルの至宝を500年前の素顔に戻せ!古きを愛する学芸員オレリアンは、実利優先のヤリ手新館長ダフネにこんな修復プロジェクトを無茶ぶりされる。《モナ・リザ》の表面を覆う酸化して緑がかったニスを剥がし、本来の姿に蘇らせて来館者数を増やそうというのだ。失敗は絶対に許されない仕事を任せられる人物を探して、オレリアンはフィレンツェを訪ね、天才修復士ガエタノの協力を得る。やがて国家をも巻き込む大騒動の末、姿を現した“モナ・リザ”の本来の顔とは?視覚情報に溢れたSNS時代に、美とは何か、本物とは何かを問いかける絶品アート小説。驚異の21冠受賞。フランスの大型新人、衝撃のデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
90
多分、世界で一番有名な絵「モナ・リザ」を題材としたフィクション。ルーブル美術館所蔵のこの絵は1500年頃、レオナルド・ダビンチによって描かれた。既に500年以上の歳月を経て表面にのニスが酸化し黒ずんで、全体に制作当時より暗く不明瞭になっている。もっともオリジナルの絵の色調などはもう誰もわからないが…。そこで新たに就任した館長、これまでの慣例を覆し学芸員出身ではない女性館長ダフネは近年、壊滅的打撃を受けた来館者数を回復させるため「モナ・リザ」の修復を絵画部門ディレクターのオレリアンに命じる。⇒2025/06/06
たま
75
【辛口です】モナ・リザの修復?面白そうと読み始めたが、フランス文化人小説らしくひけらかし(俺はこんなことも書けるぜ)と自己韜晦(本当のテーマを率直に書く勇気はない)で推進力が感じられない。途中退場しようかと思ったが、読メの感想を見ると最後にビックリがあるらしいので我慢して読んだ。現在の美術館のあり方(商業主義とアカデミズム)の風刺は効いていて面白いが、推奨されているオメロ的享受は〈高貴な野蛮人〉+〈ロマン主義〉の焼き直しに見える。女たちがガエタノやオメロにひれ伏しているのも古臭くてばかばかしいと思った。2025/03/14
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
61
(2025-43)【図書館本・31】ルーブル美術館の至宝Le Joconde(モナ・リザ)。やり手の新館長が、観客数アップの為に打ち出した修復計画。不本意ながら計画を進める事になった学芸員のオルレアン。世紀のプロジェクトが修復士ガエタノ、モナリザを愛する掃除夫のオメロの人生とも交わりながら進んで行く。マーケティング戦略の為に人類の至宝に手をかけて良いのか?もし同じ事が起こればそれこそ大騒ぎになるだろう。何を持って真の姿とするかは人によって違うだろうな。予想外の結末は……。うーむ、どうなのかなぁ。★★★2025/03/20
pohcho
60
世界的名画「モナ・リザ」の修復をめぐる物語。表面を覆うニスが酸化によって変色しているため、ニスを剥がして本来の姿に蘇らせようというのだ。世界中が注目する失敗の絶対に許されない大プロジェクト(想像するだけで胃が痛くなりそう)イタリアの天才修復士・ガエタノのもと修復作業が始まる・・というメインストーリーの中に様々なサブストーリーが織り込まれる。そして、国家をも巻き込む大騒動まで起こる中、いよいよ修復が完成したと思ったら、驚愕の結末が・・。美とは何か。どう鑑賞されるべきなのか。さまざまに問いかけてくる作品だった2025/03/06
キムチ
59
クレストにしてはちょっと異色の仏作品。文学的とは思えず、アッパー特有の臭みが強く感じられ、何回かリタイアしたくなった。ルーブル美術館に鎮座おわしますモナ・リザ!新館長ダフネは絵画部門ディレクターオルレアンに提案で当該絵画の修復を。ビジネスライク オルレアンの人間性も気に食わず、移民2世夜間掃除夫オメロの性生活の多彩さに辟易し・・1~3部構成でメリハリが効いている事、短い区切りで流れていくので読み易いことこの上ないのだが、さっぱり心に染みて行かない。肝心の修復は専門のガエタノなんだけど影が薄い。美術への想い2025/05/07