出版社内容情報
ブレグジットからパンデミックへ。苦悩深まる世界の新たな希望を描く最終巻。私が自分の人生の主人公だとしても、私たちはこの星で生きる資格がない。感染症の流行が始まった英国で、環境破壊に心を痛める少女が海岸で出会ったのは、母の形見の丸い石を届ける途中の男とその相棒。少女も家族と一緒に彼らの旅に加わり――EU離脱をきっかけに始まった不協和音だらけの交響曲、祈りに満ちた最終楽章。
内容説明
イギリス南部ブライトンに暮らす少女サシャは、環境破壊や貧困問題に憤概しながら、問題行動を繰り返す弟ロバートに日々手を焼いている。サシャはある日、母の形見の丸い石を東部サフォークに住む元の持ち主に返す旅の途中というアートと、一緒にブログを書いているシャーロットに出会った。二人は姉弟の母グレースと意気投合し、ロバートはシャーロットに一目ぼれ。家族三人はアートたちの旅に同行することになった。一方、石の元の持ち主で百歳を超える老人ダニエルは、ベッドで夢を見ている。戦時中、ドイツ系ユダヤ人として敵性外国人と見なされ収容所に入れられた記憶、そしてフランスで行方を絶った妹のこと―EU離脱による分断を描くことから始まった四部作の、パンデミック下で書かれた最終巻。
著者等紹介
スミス,アリ[スミス,アリ] [Smith,Ali]
1962年、スコットランド・インヴァネス生まれ。ケンブリッジ大学大学院で学んだ後、スコットランドの大学で教鞭を執るが、ケンブリッジに戻り執筆に専念。デビュー短篇集Free Love and Other Stories(1995)でサルティア文学新人賞を、長篇The Accidental(2005)でホイットブレッド賞を、『両方になる』でゴールドスミス賞、コスタ賞、ベイリーズ賞を受賞。『秋』から始まった「四季四部作」は今作『夏』(オーウェル賞受賞)で完結。最新作は『Companion Piece』(2022)。現代イギリス文学を代表する作家の一人で、タイムズ文芸付録による2018年のアンケートThe Best British and Irish Novelists Todayで1位に選ばれている
木原善彦[キハラヨシヒコ]
1967年生まれ。大阪大学教授。訳書にトマス・ピンチョン『逆光』、リチャード・パワーズ『オルフェオ』『オーバーストーリー』など。ウィリアム・ギャディス『JR』の翻訳で日本翻訳大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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