出版社内容情報
クレストの短篇集11冊から選りすぐったアンソロジー。ラヒリ、マンローからミランダ・ジュライまで。シリーズ創刊15周年特別企画
創刊十五周年記念全一〇一篇から選んだ傑作短篇アンソロジー。娘から見た母の人生を描いて、長篇さながらの読後感を残すジュンパ・ラヒリ、孤独で不器用な魂を写しとるミランダ・ジュライ、ユダヤ人を描きながらどこまでも普遍的なネイサン・イングランダー、以上三作のフランク・オコナー国際短篇賞受賞作のほか、マンロー、シュリンク、ウリツカヤなど、クレストから選りすぐった十二篇。
内容説明
新潮クレスト・ブックス創刊15周年特別企画。フランク・オコナー国際短篇賞受賞作3作を含む、シリーズの短篇集11作から選りすぐった現代最高のアンソロジー。
著者等紹介
松家仁之[マツイエマサシ]
1958年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。82年、新潮社入社。89年『アメリカ青春小説特集』(小説新潮臨時増刊)を編集。98年「新潮クレスト・ブックス」を企画、創刊。多くの海外作家のインタビューを行なう。2010年、退職。12年、長篇小説『火山のふもとで』を発表。13年、同書により読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
87
クレストブックス創刊15周年を記念して11人の作家の短編集から選ばれたアンソロジーです。私はベルンハルト・シュリンクを読んだだけなので、それ以外の作家の作品は初めてでした。ジュンパ・ラヒリやこの表題作は結構楽しめましたが、前回の堀江敏幸さんが選んだときに比べると若干物足りない感じがしました。2015/08/05
naoっぴ
79
クレストブックスの選りすぐりの短編を集めた一冊。気になるラヒリやベルンハルト・シュリンク、アリス・マンローの短編など読めて満足。様々な国の様々な人の悲喜こもごもの経験が、しみじみとした余韻をもって語られる。思春期の反抗、罪の意識、隠した嘘、病気になること、年を経る寂しさ…。誰もが経験するような感情がときにごくさらりと何気なく書かれていて読み返すものもあったけど、再読でさらに深みを感じたり、読むほどに味わいの出る作品ばかりだった。中でも「若い寡婦たちにはー」は心に染みた。2017/11/03
キムチ
63
クレストブック生みの親である編者。巻末に綴る思いも珠玉の短編に入れたい・・心に染み入る。今でこそ名前がその持つ世界とリンクできるドーア・ラヒリ・シュリンク・マンローだけでなくベトナム・ロシア等世界各地より優れた作家が作品を連ねる。狭小日本で暮らしていて世界へ想いを馳せる~手垢がつく言葉しか出ないが、まさにそう。人がそれぞれの置かれたソフトハードのスタンスで生きている!いずれの作品にも共通しているのは人生は流れ人は与えられた運命的なものを持って淡々と(或は粛々と)生きていくこと。甲乙つけがたい感慨を抱けた。2017/06/04
キジネコ
46
フェルフルスト家再び、しかもクレスト15周年を記念する本書の表題だなんて(^^ゞ 収められた12の短編が無軌道に選ばれたのか?面白い事のみが選択のキモであったのか?この疑念を最後に登場したアリス・マンローが晴らしてくれました。まるで天より地上を照らす燭光のごとき啓示。全ての物語のキャラクターが体温を持ち、生き生きと動き出し 血の通う暗喩として読者の心象風景の中で申し分のない役割を果たします。本年短編部門 個人的にNo.1です。best of bestは「美しいこども」(^_^)読書の快楽、自由だなあ~ 2014/11/06
よこたん
45
「似た人生は同じ人生ではない。そこには違いがある」 当たり前のことなのに、じわりと涙が出そうになった。装丁が美しく、ずっと気になっていた新潮クレスト・ブックスを初めて手に取った。様々な国の、様々な言語で書かれた短篇小説集。「地獄/天国」「若い寡婦たちには果物をただで」が心に残る。自分が知らない、知ろうともしてこなかった世界にぎょっとし、うろたえるうちに目の前でパタンと扉を閉じられたような気持ちに陥る。どんな環境であろうと生きていく、生きざるをえない人々、住まいから漂う何とも言い表せないにおいを感じた。2018/01/03