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Crest books
終わりの感覚

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  • サイズ B6判/ページ数 188p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900991
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

出版社内容情報

時間は流れ、やがてただ消え去る。老年を迎えた男を語り手に、ひとの記憶の曖昧さをスリリングに描きだす昨年度ブッカー賞受賞作。

時は流れ、ゆらぎ、やがて跡形もなく消える。二〇一一年度ブッカー賞受賞作。歴史とは、不完全な記憶と文書の不備から生まれる確信である――。二十代で自殺した親友の日記が、老年を迎えた男の手に突然託される。それは、別れた恋人の母親の遺言だった。男は二十代の記憶を懸命に探りつつ、かつての恋人を探しあてるが……。記憶の嘘が存在にゆすぶりをかけるさまをスリリングに描くバーンズの新境地。

内容説明

穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?―ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞受賞作。

著者等紹介

バーンズ,ジュリアン[バーンズ,ジュリアン][Barnes,Julian]
1946年、イギリス・レスター生まれ。オックスフォード大学卒業。OED(オックスフォード英語大辞典)の編集者等を経て作家に。2011年、『終わりの感覚』で、四度目の候補にしてブッカー賞を受賞

土屋政雄[ツチヤマサオ]
翻訳家。1944年、松本生まれ。東京大学中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

177
ジュリアン・バーンズ二作目。『フロベールの鸚鵡』とは作風が異なる、正統派の小説に思えたが、やはり衝撃が。言霊という概念を思い出した。トニーの言葉は呪いとして有効だったのか。傷を受けないよう無難な人生を選択したトニーと、ある冒険の結果、死を選んだエイドリアン、身近な人に裏切られ続けたベロニカ、本当の人生を生きたのは誰か?死ぬ間際、エイドリアンは幸せそうだったというベロニカの母親の言葉の真意は?事実がわかってみると、男は逃げ、女は受け止めたのだと思える。2016/06/21

遥かなる想い

142
2011年ブッカー賞受賞。 引退した男が 思い出す青春の日々の物語である。恋人ベロニカと 友エイドリアンとの 思い出が 抑えた筆致で描かれる。 40年経った今に、あの時代を どう思い出すのか? ひどく 不可思議な存在のベロニカの人物造形が面白い。最後に明かされる隠された謎があっけなく 心に残る…そんな印象の作品だった。 2020/12/08

naoっぴ

94
中篇小説なのに"読みきった"感がある濃密な作品だった。面白かった。穏やかな引退生活を送る老人の青春回想録…と思って読んでいたら、徐々にサスペンスフルな内容に変わっていく。哲学寄りの思考や心理をついた表現などに目が離せず、なんというか、主人公に共感はしたくないけど心理が理解できるという感じにもすごく興味をひかれた。やや回りくどいけど洒落のきいた文章も心地よく、主人公の行動と展開には終始はらはら。真相を知ったときは驚きとともに諦感、理解、共感…まとめきれない多くの感情が沸き上がった。再読したい本。2017/08/01

藤月はな(灯れ松明の火)

84
人によって抱く真実は決して一つではないし、異なってくる。「ちょっとしたことでそんなことになるとは思わなかった」といういじめや自殺でも似たような観点の違いがこの本では、投げかけられる。「己に非なければ石を投げよ」の逸話のように胸を張って「生きていて誰一人、傷つけたことはない」と言える人は誰もいないのではないか。もし、そういう人がいたならばそれは御目出度い人物なのだろう。だからこそ、「あなたは何も知らない。なのに知ろうとして知った姿勢を作る。だから知った振りもしないでほしい」という言葉は読者にとっても痛烈だ。2013/08/06

どんぐり

79
おぞましい「血の報酬」が、エイドリアンの自殺だった。数式に隠された謎が、最後の最後で明かされる。「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信」だ。若さと老い、人生と記憶についての思索、物語よりもその文章に魅了される。「年齢が進むにつれ、その感覚と思いは鈍ってくる。記憶は重なり合い、行きつ戻りつし、虚偽記憶が充満してくる。若ければ、まだ短い人生の全体を思い出すことができるが、老人の記憶は断片の集まりや継ぎはぎになる。記憶は、飛行機事故を記録するブラックボックスのようなものだ」2013/12/22

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