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Crest books
天使の記憶

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  • サイズ B6判/ページ数 276p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900205
  • NDC分類 953
  • Cコード C0397

内容説明

天才若手フルート奏者がミステリアスなメイドと恋に落ち結婚。息子の誕生後もなお心閉ざす妻は夫の知人の楽器職人と秘められた関係に…。ショッキングで痛切な恋愛小説!フランス『エル』誌読者大賞受賞。カナダ・ケベック図書賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

135
1950年代のフランスの雰囲気満載の物語である。ドイツ娘サフィーの透明な存在感が 圧巻で 不可思議な三角関係を醸し出す。 人間の「無垢」が本作品のテーマらしいが …物語の背後にある ナチとユダヤの哀しみが フランスとアルジェリアの関係が 映像的に 描かれる。閉ざされた過去を 背負いながら、今を生きる サフィー …最後のエピローグまでが ひどく透明な 無垢の物語だった。2019/07/07

星落秋風五丈原

33
 ハンガリーからパリにやって来た楽器職人はユダヤ人で、多数の血縁をナチのユダヤ人狩りで亡くしている。今は、コミュニストとしてアルジェリアの独立運動を支援している。ドイツ人とユダヤ人というだけでなく、ロシア人を憎む者とコミュニストという構図がはだかり、更に、戦争犠牲者対アルジェリア戦争支援者として互いの中に敵を見ながらも、女と男は体を求め続ける。  二人の破滅は大きな悲劇を伴って訪れる。2000/11/12

algon

10
表題とは裏腹に終始不穏な空気が支配し結末の予測もたたずそして結末すらも無いに等しい…という中々珍しい本だった。フルートの名手でフランス人のラファエル、ハンガリー系ユダヤ人で楽器修理屋のアンドラーシュ、父がナチ協力者で母娘がロシア兵に暴行されひどく心的外傷を受けたサフィー、各々の国の背景を背負った3角関係なのだが間に立つサフィーが目覚めただけにその子エミールを巻き込んだ逢瀬も激しくそして密やかだった。その愛の時間の間、フランスはアルジェリア紛争を抱えその血なま臭い経過も逐一語られる。彼の国の政情と愛の物語。2020/10/08

hagen

4
やはりこの作者が描く物語の根底にあるのは、深く心に打ち付けられ決して癒される事が無い深い悲しみと、又、救いの無い混迷の中に生まれる一筋の光明が、如何に儚いものであるかを淡々とうたいあげる。決して語られる事の無い暗い深淵の過去を持つ一人の寡黙な無垢な息子を連れた母親が、夫と愛人の間を行き来するパリ市中の歩みが、結局彼女の人生すべてだったのだろう。世界の憎しみと混迷が何時の時代にも執拗に繰り返される中にでも、吹き消される様な淡い命の灯火が続いていくのだろう。2018/08/14

プチライス

4
「時のかさなり」の感動を期待したけれど、恋愛ものとして読むには陳腐、歴史ものとして読むには私の知識が不足している。「文字どおり無尽蔵の物語」をうみだす「あのヒトラーという奴は、小説家にとってなんとありがたい存在だろう!」とあるのは不謹慎な皮肉がすぎるけれど、人間の暗部を描くに格好の題材に違いない。「私たちのたどる人生の軌跡は、めまいがするほどの偶然に左右されている。私たちの行動は複雑に絡み合った動機に支配され、積み重ねられる誤解は万華鏡のように変化する」コントロールできるわけもなく、翻弄されるだけなのか。2013/11/22

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