コレクションズ

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  • サイズ A5判/ページ数 526p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784105425012
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

妻として母として、セント・ジュードにある家で50年の歳月を過ごしてきたイーニッド・ランバートにとって、山積する不満はなかなか解消されない。介護や医療費のことが不安だし、長男の嫁との関係は悪化するばかりだ。夫のアルフレッドはすでに鉄道会社を退職している元技術者で、パーキンソン病を患って痴呆症が出始めている。子供たちは子供たちで、わが家を巣立ってから何年も戻ってこないまま。しかも、それぞれの生活は行きづまっていた。長男のゲイリーは地方銀行の部長で経済的には恵まれているが、妻子との関係が不調で鬱々とした日々を送っている。反抗的な次男のチップは大学で先鋭的な文学理論を講じていたが、女子学生と関係を持って辞職に追いやられ、破産寸前の状態。末っ子で一人娘のデニースは新進気鋭のシェフとして活躍しながらも、結婚や恋愛の面で波乱の連続だ。あらゆる期待を打ち砕かれていくイーニッドに残された望みは、家族の絆を取り戻すために、家族そろってわが家でクリスマスを祝うこと。かくして、家族の絆の修正(コレクションズ)は、最後のクリスマスの日に託されたが―。家族という私的な領域と、現代アメリカが直面している社会的領域とを、さまざまな手法を用いて巧みにリンクさせ、辛辣に、滑稽に、現代人にまつわる悲喜劇を紡ぎだす。全米図書賞に輝くベストセラー小説にして、21世紀初頭のアメリカ文学最大の話題作。

著者等紹介

フランゼン,ジョナサン[フランゼン,ジョナサン][Franzen,Jonathan]
1959年、イリノイ州ウェスタン・スプリングズに生まれ、ミズーリ州セントルイス郊外の町ウェブスター・グローヴズで育った。’81年にスワスモア大学を卒業後、ベルリン自由大学でフルブライト奨学生として学び、のちに、ハーバード大学の地震学研究室に勤めることになる。’88年にThe Twenty‐Seventh Cityで作家デビュー。’96年には『ニューヨーカー』誌の“21世紀期待の作家20人”、イギリスの季刊文芸誌「グランタ」の“40歳以下のアメリカ人作家トップ20”に選ばれている。’98年にホワイティング作家賞を受賞し、その後、2001年に刊行された第3作にあたる『コレクションズ』が「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラー・リストで第1位を記録し、全米図書賞を受賞。同年のアメリカ文学界最大の話題作となる。現在はニューヨーク市に在住

黒原敏行[クロハラトシユキ]
1957年和歌山県生れ。東京大学法学部卒業。英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

76
古き良き時代を反映した家庭でのクリスマス。しかし、家族はそれぞれ、問題を抱えていたのだ。映画『クーパー家の晩餐会』を彷彿とさせる物語だが、彼らが抱える「爆弾」は後回しにされ、隠された挙句、家族の前(一名を除く)では遂に爆発しない。それが現実味と苦さを与えている。「家族」が全ての基盤だった世界は緩やかに崩壊しつつあり、血が繋がった「家族」は「家族」を救えない。しかし、そうなる前にできることはないのかと考えさせられる。後、親の介護を担うのは長男ではなく、女性や次男以降の男性陣である点は本当にあるあるです。2018/06/05

NAO

54
「コレクションズ」とは、修正のこと。何の明るさも見いだせないジリ貧の家族の老いた母が、クリスマスに子どもたちを家に招いて家族の絆を取り戻そうと考える。スラップスティックなシーンは辛辣で、滑稽だが、修正を試みたところで、それが成功しないのは目に見えており、修正が問題解決になるとは思えない。ならば、どうすればいいか。どうにもならない。その苦悩と焦燥感、諦観こそが作者の描きたかったことなのだろうか。現代の家族のあり方。これは、アメリカだけの話ではない。今の日本の家族の多くも、こんな感じなのでは。 2016/07/21

里季

51
ランバート一家のごたごたが、ものすごく詳しく、しつこいくらいに描写されている。フランゼンという作家の表現力にも面白みを感じた・・・特に比喩が面白い・・・し、また翻訳も素晴らしいと思った。父アルフレッドはパーキンソン病からくる幻覚と震え、認知症の症状に苦しむ。それを客観的に観るのではなく、アルフレッドの頭の中で繰り広げられる混沌をそのまま語っていて、身につまされる。母イーニッドもしかり。クリスマスに家族全員が揃うことに異常なまでに固執する様子は端で見ると滑稽にさえ感じさせる。子供達の苦悩も同様。良作。2014/03/27

かんやん

13
バラバラなランバート家の人々は、中西部の家で揃ってクリスマスを迎えることができるのだろうか?というメインプロットを軸に、家族の過去、子どもたちの現在(に至るまでのドタバタ)が描かれる。物量にものをいわせるような描写とエピソードの重層性から、現代のアメリカ(といっても9・11前)が浮かび上がってくる。スラップスティックという言葉を訳者が解説で用いているとおり、畳み掛ける展開に何度も爆笑してしまう。しかし、現代的な意匠を剥がしてみたら、案外ベタな家族小説なのでは。家族って面倒くさい。身につまされます。2017/02/25

saeta

9
とても面白かったがこのサイズ、頁数、重さはボラーニョの「2666」以来で通勤電車で読むのも大変苦労した。フランゼンはこれの前に読んだ「フリーダム」同様、人物造形・描写が優れており、読みながらこの感じ解るなと頷くことが多かった。特に長男、次男、末っ子の妹の3兄妹の性格の特徴。この辺は第一子だなぁ、なるほど末っ子気質だなぁ等。たまたまだが、クリスマスのタイミングにちょうど家族が集まるクリスマスの辺りを読んでいたので、あたかもお隣の家族を覗き見しているような奇妙な感じでした。今年はアメリカの作家を結構読んだな。2018/12/28

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