内容説明
妻として母として、セント・ジュードにある家で50年の歳月を過ごしてきたイーニッド・ランバートにとって、山積する不満はなかなか解消されない。介護や医療費のことが不安だし、長男の嫁との関係は悪化するばかりだ。夫のアルフレッドはすでに鉄道会社を退職している元技術者で、パーキンソン病を患って痴呆症が出始めている。子供たちは子供たちで、わが家を巣立ってから何年も戻ってこないまま。しかも、それぞれの生活は行きづまっていた。長男のゲイリーは地方銀行の部長で経済的には恵まれているが、妻子との関係が不調で鬱々とした日々を送っている。反抗的な次男のチップは大学で先鋭的な文学理論を講じていたが、女子学生と関係を持って辞職に追いやられ、破産寸前の状態。末っ子で一人娘のデニースは新進気鋭のシェフとして活躍しながらも、結婚や恋愛の面で波乱の連続だ。あらゆる期待を打ち砕かれていくイーニッドに残された望みは、家族の絆を取り戻すために、家族そろってわが家でクリスマスを祝うこと。かくして、家族の絆の修正(コレクションズ)は、最後のクリスマスの日に託されたが―。家族という私的な領域と、現代アメリカが直面している社会的領域とを、さまざまな手法を用いて巧みにリンクさせ、辛辣に、滑稽に、現代人にまつわる悲喜劇を紡ぎだす。全米図書賞に輝くベストセラー小説にして、21世紀初頭のアメリカ文学最大の話題作。
著者等紹介
フランゼン,ジョナサン[フランゼン,ジョナサン][Franzen,Jonathan]
1959年、イリノイ州ウェスタン・スプリングズに生まれ、ミズーリ州セントルイス郊外の町ウェブスター・グローヴズで育った。’81年にスワスモア大学を卒業後、ベルリン自由大学でフルブライト奨学生として学び、のちに、ハーバード大学の地震学研究室に勤めることになる。’88年にThe Twenty‐Seventh Cityで作家デビュー。’96年には『ニューヨーカー』誌の“21世紀期待の作家20人”、イギリスの季刊文芸誌「グランタ」の“40歳以下のアメリカ人作家トップ20”に選ばれている。’98年にホワイティング作家賞を受賞し、その後、2001年に刊行された第3作にあたる『コレクションズ』が「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラー・リストで第1位を記録し、全米図書賞を受賞。同年のアメリカ文学界最大の話題作となる。現在はニューヨーク市に在住
黒原敏行[クロハラトシユキ]
1957年和歌山県生れ。東京大学法学部卒業。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
NAO
里季
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saeta