内容説明
名演とは一つの事件である。マーラーがベートーヴェンがバッハが、バーンスタインによってフルトヴェングラーによってホロヴィッツによって、新たな生命を享けて立ち上がる。身体が震え目が眩み手に汗握りながら、我々は「作品」創造の瞬間に立ち会っているのだ。演奏されて初めて作品となるクラシック音楽から、「事件」としての不滅の名演を紹介。
目次
第1章 フルトヴェングラーの「第九」
第2章 スカラ座を呪縛したカラスのヴィオレッタ
第3章 「ばらの騎士」の優美
第4章 ホロヴィッツの劇的な復帰
第5章 ウィーンを陶酔させたバーンスタイン
第6章 ポリーニの衝撃的再登場
第7章 ベームとウィーン・フィルの古き良きモーツァルト
第8章 「トリスタンとイゾルデ」の華麗な競演
第9章 蘇るモンテヴェルディの響き
第10章 パリ・シャトレ座の「ドン・カルロス」
第11章 歴史的劇場に響くバルトリの歴史的歌唱
第12章 神話を生むヴァントとベルリン・フィル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くまこ
6
ベートーヴェンの交響曲第9番、フルトヴェングラー指揮の録音作品の中で、1951年7月29日バイロイト祝祭劇場での第9は、フルトヴェングラーの最高演奏と推す声も多い。ワーグナーの反ユダヤ主義から、ナチス・ドイツの聖地と化してしまった歴史、そして禊ぎを経て戦後再開されたバイロイト音楽祭での記念コンサートまで、演奏の背景がコンパクトにまとめられていてよかった。他にも様々な名演奏が紹介されている評論集で、クラシックファンなら買って損はないと思う。2013/06/30
franz
2
図書館。 あとがきに“「不滅の名演」などあり得なかった。名演は不滅ではないし、不滅なら名演ではない”とあるように、タイトルから想像する内容とは少し異なるところがある。 本筋とは違うところだが“「気の向くままに」「自由自在に」は、むしろ定められた道があるからこそ感じられる感覚なのではないだろうか?”これは演奏だけでなく色々な場面で似たようなことが言えるだろうと思う。2025/03/30
夢仙人
2
素晴らしい。参考になった。2019/05/20