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98.3.30
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
68
ロシアの女性作家たちが女故の母性と凶悪性を優しく、描く短編集。「重心」の例えや言い回しが生活に基づく独特性とユーモラスがあるので始終、クスクス、笑えました。好き^^自分を弄んだ船乗りを呪い殺そうとする女を手伝う魔女を描いた「魔女の涙」は最後の泣いている魔女の言葉になぜか、しんみりしてしまう。「卒業証書」は女の将来の打算性や嫌な面をしっかりと嫌味なしで客観的に描いているので好き。こういう人ほど、同性に頼りにされるのよね~。「化け物」は厄介だったのに歳を取って落ち込む化け物に優しくする女性陣に共感してしまう。2016/09/11
くさてる
7
アンソロジイ。様々なジャンルの作品が選ばれていて、それぞれに味わいも違うけれど、これまでにあまり馴染みが無かった現代ロシアの女性作家が表現した「世界」の面白さや興味深さはどの作品からも感じることが出来た。若い女性のどうしようもない苛立ちが幻想的な感覚と共に語られる「鳴り響く名前」、戦争の記憶が古い家に住む老女にずっと寄り添っている「ライネの家」、寓話と片付けるには意味深な「化け物」などがとくに印象に残った。2014/03/16
読書日記
6
もっとダークファンタジー的な話を期待していたのだが、ファンタジー要素があるのは2篇だけだった。「化け物」はタイトル通りで、カフカの「変身」を想起。殆どは、いかにもザ・文学と言った感じで、価値はあるのだろうが、私には分かりにくく、今欲しいタイプの本ではなかった。タイミングが悪いとしか言いようがない。一言一言丁寧に読む必要があり、集中力がいる。自分も昔はそういう時期があったのだが、落ち着いて純文学を読みたい人にはおすすめ。いちばん印象に残ったのは「ターニャ」で、自分への警告のような気がして恐ろしくなった。2022/08/12
timeturner
6
現代ロシア文学界の女流作家10人の作品を集めたアンソロジー。ラブコメ、妖怪・魔女・幽霊、不倫、戦争とジャンルも作風もばらばらだけど、どれをとってもびっくりするくらい面白い。もっと読みたい作家が一度に増えた。翻訳出してほしい。2019/02/16
きりぱい
5
妙な洒落っ気?の「重心」、理不尽というべきか道理というべきか「魔女の涙」、迷惑なのに憎めない化け物が出てくる「化け物」が変わっていてよかった。「身内」が、学生時代から変わらない仲間たちの入り乱れに、何してるんだこの人たちは、と思っていたのに、最後の展開に驚き!つらすぎる・・。2011/09/12
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- 和書
- 経済学の動向 〈下巻〉