出版社内容情報
五輪とコロナで揺れる東京で、米国人作家夫婦の前に幽霊たち(三島、太宰、黒澤明、植木等その他大勢)が現れる。世界に先駆け刊行!
内容説明
五輪(オリンピック)と疫病(コロナ)に揺れる都(TOKYO)で幽霊たちの大騒ぎ!来日したアメリカ人作家の前に現れる幽霊また幽霊。柴田元幸との名コラボが生んだ連作綺譚、世界初刊行!
著者等紹介
ユアグロー,バリー[ユアグロー,バリー] [Yourgrau,Barry]
南アフリカ生まれ、10歳のときアメリカへ移住した。『一人の男が飛行機から飛び降りる』『たちの悪い話』『ケータイ・ストーリーズ』(いずれも柴田元幸訳、新潮社刊)など、詩的で白日夢のごとき超短篇で知られる。現在はニューヨーク市クイーンズ区ジャクソン・ハイツ在住
柴田元幸[シバタモトユキ]
東京生まれ。米文学者・東京大学名誉教授・翻訳家。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン』(トマス・ピンチョン著)で日本翻訳文化賞、翻鉄の業績により早稲田大学坪内逍遥大賞を受賞。アメリカ現代文学を精力的に翻訳するほか著書多数、また文芸誌「MONKEY」の責任編集も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田氏
31
コロナ禍は文学をも大きく変えた、と誰だかが言っていた。「楽しい悪夢」と言われる作風のバリー・ユアグローも例に漏れないが、盛大に霊が漏れてはいる。太宰の霊、三島の霊、芭蕉に北斎に一休宗純、植木等に渥美清…もうだめだ、東京のウラはネズミの卵と幽霊でいっぱいだ。そんな東京でバリーは、パートナーと床屋に振り回され、実在の友人らと飲み歩き、山手線に舌鼓を打ち、東京タワーを部屋から追い出す。が、コロナの時代に突入するあたりから、楽しい悪夢はなにかへ変わっていく。それは寝床を出て昨夜の悪夢の喧騒を懐かしむようであって。2021/12/17
ゆみのすけ
26
2019年〜20年の東京を舞台にしたとてもユニークな話。コロナウイルスの蔓延前に東京を訪れた作家の主人公とフードライターのガールフレンドが各々の仕事の取材を兼ね、築地浅草、原宿、上野など東京の名所を探索。そこで出会う人々が太宰治、三島由紀夫、坂口安吾、宮沢賢治、黒澤明、渥美清、福沢諭吉など様々な分野で活躍した日本の錚々たるメンバーの幽霊!に加え、ビートたけし、石坂浩二、大谷翔平など現在活躍されている方々のお名前も。想像力豊かな作者の時空を超えたはっちゃけた展開に、頭がぐわんぐわん乱された不思議な読書体験。2022/11/03
はるま
14
初読作家「この本で描かれる東京は、わたしが滞在した期間の経験と印象に基づいている。」序文の著者のコメント引用 こよなく日本文化や風俗、映画、文学その他諸々を愛してくれている外国人著者から見た東京の持つ魅力的な数々が面白おかしく、コミカルに表現されていた ちょっと不気味で不可思議な?幽霊達も登場するファンタジー物語 かくいう僕もいつ頃からだろうか、花の都大都会東京が大好きなんだよなぁ そんな東京の魅力が溢れていて、行きたくなりますね 「柴田元幸との名コラボが生んだ連作綺譚、世界初刊行!」帯コピからの引用 2022/01/05
メセニ
12
バリー・ユアグローとパートナーであるコジマの東京滞在記。という体の連作奇譚。五輪に揺れる東京の変わりゆく姿を、実際の滞在経験をもとに、著者はユーモアと皮肉、ちょっぴりおセンチを混じえて物語る。そして作品を彩るたくさんの幽霊!?。もう死んでるやつ/まだ生きてるやつらのお化けが魅力たっぷり陽気に騒がしい(太宰、三島、黒澤、快楽亭ブラック、大谷翔平etc)。”外国人の目を通して日本文化を再発見する”みたいなエセ教養チックな感じもあまりなくてGood。ポップと馬鹿馬鹿しさの中にある程度のよい可笑しみ。2021/11/05
ハルト
12
読了:◎ 日本文化への深い愛と知見が、軽妙なワルツのようにくるくると回り、巡りながら、語られる。古今問わない、日本のさまざまな著名人の〈幽霊〉たちとの出会いに振り回されるのが、ユーモラスでユニーク。酔いどれ、どれが夢でどれが現実なのかわからないところがいい。日本のポップカルチャーを、愛ある外国人の目から見たときの感想が、こういったものなのかというのがわかって楽しい。一筋縄ではいかない、まさに奇才バリー・ユアグローの、東京滞在記。おもしろかった。2021/11/06