内容説明
死刑となった依頼人を持つ弁護士が、弁護士とは何か、死刑とは何かを深く静かに問いかける。傑作ノンフィクション。死刑存廃論議に必読の書。
目次
第1部 依頼人ボンタンとの出会い/そして公判の準備
第2部 重罪院での審理/憎しみの町トロワ
第3部 待機の日々―死刑執行
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
22
ミッテラン政権の法務大臣として存続派60%の世論にもかかわらず死刑廃止を実現した弁護士の回想録。実際に弁護を担当した被告の冤罪が明らかなのにもかかわらず、興奮する市民や過熱する報道、被告の与える心証などの偶然的な要因のために死刑の求刑を覆せなかった経験が深い悔恨をもって語られる。執行直前の司祭による赦しのあとのギロチンの落下の鋭い音は死刑が紛れもなく国家による暴力であることを納得させる。決して無謬ではありえない人間が人間を裁くということの重大さを改めて感じさせられた。2018/03/19