内容説明
男に隷属する以外、女性に生きる道はなかった時代に、『女性の権利の擁護』などというとんでもない本を著し、一大スキャンダルになった女。「結婚は公認の売春」と言い放ち、いくつもの恋をした女。何度も落ち込み、何度も蘇り、常にまっすぐ前を見つづけた女。今の女性の自由は、この人なくしてはなかった―その女、メアリーの38年間の生涯を、当時の生々しい風俗と共に活写した長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
18世紀の早過ぎたフェミニストにして、「フランケンシュタイン」の作者メアリー・シェリーの母親であるイギリスの女性作家の生涯をベースにした小説。基本的には歴史的事実に基づいているそうだが、作中で描写されるメアリー・ウルストンクラフトの心情はどうも雄弁過ぎるので、多分に作者の思想を代弁させている節もあるのではないかと思う。全体として読み易い小説という印象は受けないが、メアリーが恋愛関係にあった作家の妻に三人で互いをシェアリングしようと提案して、精神病院にぶち込まれるくだりがインパクトがある。これも実話とのこと2022/04/14