内容説明
蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。
著者等紹介
ガルシア=マルケス,ガブリエル[ガルシアマルケス,ガブリエル][Garc´ia M´arquez,Gabriel]
1927年生まれ。コロンビアの作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
601
濃密にして壮大な物語だ。タイトルも読書意欲を大いに刺激する(原題は、「孤独の百年」)。ブエンディア家の初代ホセ・アルカディオ達によって密林の中に開かれた町、マコンド。そこでは植物をはじめ、あらゆる生命が横溢する。やがてバナナ園が出来、鉄道も通うようになるが、何も変わらなかったといえば、確かに何も変わらなかった。「一族の最初の者は樹につながれ、最後の者は蟻のむさぼるところとなる」―すべては書かれた物語なのである。32度も反乱を起こしたアナーキストの物語もまた、一片のエピソードとして密林に呑みこまれて行った。2013/08/04
遥かなる想い
293
ラテンアメリカのこの物語の主題は 愛の欠如、孤独だそうである。 だが正直 読んでいると むしろ 逆に マコンド村に生きるブエンディーア一族の 躍動するような生命力を全編から感じる.. それにしても 母は強い。ウルスラの生き様は 南米特有のものだろうか.. 血の絆が濃厚で 生への貪欲さが全編を覆う。 ウルスラ、アウレリャーナ大佐..類似の名前が 蠢き 生息している.. 南米の物語の特徴なのだろうか? 一族の血の歴史を感じる、そんな物語だった。2017/04/30
KAZOO
223
やっと読み終わりましたが、まだ全体を把握しているというところまでは至っていない感じです。様々な人の同じような名前などが出てきて、長い期間をかけて読んだのですがさあっと読んだ方がいいのかもしれません。物語の基本のようなものがいくつもあるように感じました。大西巨人の「神聖喜劇」を読んだと同じような感じを受けました。埴谷雄高の「死霊」も未読ですが同じような感じなのでしょうね。再読するつもりです。桜庭さんの赤朽葉家も影響を受けているのでしょうかね。2016/09/13
夜間飛行
195
不可解な事がたくさん起こるが違和感はなく、むしろ私自身の日常も非合理に満ちていることが思い起こされた。つまり何一つ予想通りにいかず、行動を起こす度にまるで玉蜀黍の皮でも剥ぐように、わけのわからない現実が下から顔を出す。それは世界の本質に向かう迷路なのかもしれない。軍事法廷に立ったウルスラは「あんたたち大まじめで、こんな恐ろしい遊びをやっているのね」と言った。土の臭いと硝煙と死者への労りに満ちたこの小説の中心に、彼女とピラル・テルネラが居てくれるのは心強い。これは世界に繋がろうとする人間の苦闘の物語なのだ。2013/10/12
Gotoran
188
近親相姦(で生まれる豚の尻尾が生えた子供)の悪習を払拭するために、移り住み開拓した蜃気楼の町とともに生きた一族の七世代百年にも及ぶ栄華盛衰の物語。悲運にも蘇った悪習で・・。重層的に織り込まれた各世代の夫々の人物の多彩な挿話に非現実と現実、幻想的な出来事、生と死、希望と絶望が描き込まれる。マジックレアリスムで描かれた朦朧とした灼熱の物語の中に人間の生命力の強さと弱さ、一途さ、悲しさを垣間見た圧巻の書。かなり前から気になっていた本書、先に読んだ『ラテンアメリカ十大小説』に後押しされて。2014/11/29