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内容説明
〈バラの傷〉から流れ出る血。雪の上に続く血の跡。傷口から流れる魂―コロンビアの小さな村にこだわってきた作家が、一転して、バルセロナ、ジュネーヴ、ローマ、パリといったヨーロッパの都市を舞台に、異国の地を訪れたラテンアメリカ人の孤独を、洗練された文体で描き、そのアイデンティティを模索する幻想小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まさむ♪ね
52
どれもこれもが愛しくて秘密の宝箱にそっとしまっておきたくなる、変幻自在のガボさん節が炸裂するとっておきの物語全十二篇。妄想、幻想、空想そして現実が入り乱れ、時間と空間はねじ曲がり、薔薇と光の洪水に襲われる。何もかもがもみくちゃに絡まり合い、強烈な芳香を放ちながら昇華していく。そうしてつむぎだされた物語はすべて極上。官能的といっていいほど濃厚な"語り"がありとあらゆる感覚器官に流れこんできて、わたしという躰を完全に支配してしまった。今夜もガボ妖精はわたしの中でほどよく暴れ回り、心地よい刺戟で満たしてくれる。2016/05/27
サトシ@朝練ファイト
46
重厚なのに読み易く、ある種の示唆に富む作品群。下手な例えだが「ハリス・バーディックの謎」のようにそこから新たな物語が生まれうる気がしてならない。2014/08/15
三柴ゆよし
25
ラテンアメリカ人の視線を通して語られる、ヨーロッパの日常と非日常の物語。マルケスという人は、ひとつの小説を書き上げるのに膨大な時間を費やすらしい。無論、本書もその例に洩れないのだが、物質としての時間の重みをあまり感じさせない、軽やかな時間が流れる短篇集になっている。堆積する時間というよりも、それはむしろ風化していく時間なのだろう。どの短篇の質も高いが、娘の列聖を待ち続ける男の物語「聖女」、狂気を呼ぶディスコミニュケーション「電話をかけに来ただけなの」、幻想のありかたが美しい「光は水のよう」が気に入った。2012/05/22
rinakko
13
ガルシア=マルケス、やっぱり私には短篇の方が響くような…(短篇集を読むのは2冊目だが)。一篇一篇、ぐうっとひき込まれた。お気に入りなんぞ選べないくらいどの話もすこぶる好きな中、「毒を盛られた十七人のイギリス人」は、もうタイトルからしてツボだった。2014/06/20
抹茶モナカ
11
コロンビア人がヨーロッパについて書く。舞台はマコンドではなく、ヨーロッパという短編集。川端康成さんの『眠れる美女』が出て来る。2013/08/11
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