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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
18
「予告された殺人」では蟠りや募らせた圧制感を持っていた加害者はあらかじめ、殺害を予告していたが皆はそれを本当だと受け取らなかったことで悲劇は起きた。この作品では悪口の書かれたビラが撒かれたことにより、共同体で疑惑、不信が募り、それが殺人を引き起こしたという過程が凝縮して描かれる。その過程では役立たずな聖職者や権威を持つはずの町長は関わりを持ちながらも事件の本質の触媒となるしかないという皮肉も描かれていた。2013/01/25
まふ
4
ガルシア・マルケスらしい入り込んだ叙述の仕方が続き、全体観がなかなかつかめないもどかしさの中に、中尉である町長の一方的な思い込みと指令により、町民の気持が離れていく様が徐々に明らかになる。という設定だったが、マルケスらしい豪快感がいまひとつ味わえなくて、彼の作品の中では上とはいえないという感想を持った。だが、百年の孤独や族長の秋などのための習作的な意味は十分に覗えた。2019/05/28