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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
24
同じ短編集でも『エレンディラ』とは違い、バリエイションの幅というより、死の匂いが立ち込める連作といった趣だ。いまの気分に合わないのか、マルケスの初期作品としても、マルケスの世界が薄いように思ってしまう。2016/09/19
やまはるか
11
1955年のガルシア・マルケス処女作 バナナ会社が落葉を散らしながら疾風とともにやって来て搾取し尽くして去ったあとの誰も運び去ることのない汽車の警笛と廃工場のトーン、トーンという音が響くマコンドの町に暮らす大佐のもとに「百年の孤独」と同名のアウレリャノ・ブエンディア大佐の紹介状を持った博士がやって来る。大佐とその娘と孫の3人の語りで展開するが説明のない固有名詞が続出して一読では理解できずメモを取って2度読みした。百年の孤独と同じ舞台を試走した感じで興味深い。収録の他の短編は落葉ほどのスケール感はない。2022/06/08
嫁宮 悠
5
マルケスはなぜ一貫して「孤独」を描いてきたのか。それは彼が自身の中に、他者の中に孤独を見てきたからなのだろう。彼の描く孤独は、他者から理解されないことから生まれるもののように思う。彼らは誰かに分かってほしい、と言うよりも、誰も分かってくれない、という諦念を抱きながら日々を送る。人は静止した空間の中に浮かぶ球のように孤独で、幻想という名の重力圏に包まれて生きているのだろうか。印象に残ったのは短篇「ナボ」。オーバー・ダブのかかったような幻想的な作品で、少年と少女が迎える交響曲のようなクライマックスもいい。2017/06/18
amdd
3
【わしはマコンドを、パーティーで札を燃やしていた人々の狂気を、いっさいを蔑みながら本能の泥沼の中でのたうちまわり、放蕩のなかに待望の味を見出していた行方定めぬ落葉を思い出した。】【寝室は沈黙の空気の底に沈み、そのなかでは死のゆっくりとした穏やかな羽ばたき、死にかけている人のいる寝室の人間の臭気がするあのひそやかな羽ばたきの音しか聞こえません。】2013/03/03
shuha
1
マルケスにも文体に苦労する時代があったんだな。試験的作品集だね。2014/10/26