何を見ても何かを思いだす―ヘミングウェイ未発表短編集

何を見ても何かを思いだす―ヘミングウェイ未発表短編集

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  • サイズ B6判/ページ数 242p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105079031
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

「海流のなかの島々」、「エデンの園」に次いで嘱望されていた、ヘミングウェイ未発表短編の全貌。真実の文章の創造に生命を賭けた作家は、何を削り、何を残していたのか?ケネディ図書館の“ヘミングウェィ・コレクション”の中から、いま珠玉の七編が甦った。数々の“マッチョ的”伝説からは窺えなかった父親としての苦悩、スペインへの思いと家長たる義務感の相克、そして、あの“スーツケース紛失事件”の痛恨の真相。埋れていた遺稿が明かす、人間ヘミングウェイの新たな魅力。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

25
実によく世界を観察している。ヘミングウェイといえば簡潔な描写だが、その絞り込まれた筆致はここまで外部を微細に見つめていることから来るのかと唸る。つまり彼は相当な繊細さの持ち主だったということになる。マッチョなヒーロー、という先入観(私もまたこれに毒されていたのだが)を裏切るに充分な、それでいて筆に溺れず世界をクリアに観察する冷静さに舌を巻いた。ヘミングウェイは多分(いつもながら私の悪いクセで、実はこれは当て推量でしかないのだが)世界に対して受動的に、観察者として関わりうる資質を持っていたのではないかと思う2022/09/02

ヘタ

13
読み物には、テキスト自体がウリなもの、コンテキストがウリなもの、テキストもコンテキストもウリなもの、、、などの種類があるとすれば、本書は書かれたコンテキストを知っているととても面白い本だと思います。ヘミングウェイを好きな人はさらに面白く読めるかもしれません。ヘミングウェイ好きの方が読んで、好きを強化する本、、、というのが感想です。2019/03/03

きりぱい

5
面白くなるかなと思ったら終わってしまう感じで、特に強い印象が残るわけではなかったけれど、戦場の話に比べると、父と子の話の方がよかった。乾いた感じに哀しい調子が滲んでいて、表題作などは胸をざわつかせる結末にちょっと驚き。「異郷」では二人の会話がまあまあ面白く(何様!)、スーツケース紛失事件での絶望感が綴られているのもおもしろい。どうでもいいけど、アブサンの飲み方のくだりがいまいち想像つかない。2010/04/28

ロピケ

4
恥ずかしながらヘミングウェイの小説を読んだことが無かった。単にイメージで苦手そうと思い、とっつきにくかっただけなんだけど。この本は題名が『何を見ても何かを思い出す』って何とも魅力的な響きで、ついどんな小説なんだろうと気になってしまった。短篇集ということで、ヘミングウェイ苦手かもと思っていた私の入門書的な存在になりました。戦争についての話、父と子、作家と様々なテーマの作品がそれぞの意味でれ印象的。少しづつヘミングウェイにも挑戦してみたくなった。2010/03/02

テツ

3
アメリカ文学も数々あるのに特にヘミングウェイ作品が日本で人気がある理由は、全ての作品から香る乾いた爽やかな寂寥感だと思う。とても日本人の感性に沿った受け入れやすく浸りやすい寂寥感。それを自らの中で育てすぎたせいでヘミングウェイ自身あんな最期を迎えてしまったのもしれないけれど、荒々しく生き生きとしたマッチョさで勢力的に生きるよりも、薄ぼんやりと全てを諦め噛みしめる孤独を一人味わいながら、ゆっくり絶望する生き方の方がきっと人間らしい。2013/09/10

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