出版社内容情報
南極の氷山の下、ユカタン半島の陥没孔、ケイマン諸島の小さな泥沼――酸素も光も届かず人間の侵入を拒む「暗闇の絶景」への冒険記。
内容説明
南極の巨大な氷山の下、ユカタン半島のシンクホール、ケイマン諸島の小さな泥沼―そこに広がるのは、酸素も光も届かず人間の侵入を拒む「暗闇の絶景」。死と隣り合わせの冒険を描いた傑作ノンフィクション!
目次
はじまり 1967‐1990年
サバイバー 1986年
魅力的な女性 1988年
洞窟の国 1993年
最も深くまでの冒険 1995年
世界最長の洞窟を切り開く 1995年
目的 1996‐1999年
ザ・ピット 2000年
アイスアイランド 2001年
帰りを待つこと 2003年
著者等紹介
ハイナース,ジル[ハイナース,ジル] [Heinerth,Jill]
洞窟探検家、水中探検家、作家、写真家、映画監督として活躍。ナショナルジオグラフィック・チャンネル、BBCなどのテレビシリーズにも出演すると同時に、ジェームズ・キャメロン監督などの映画の技術指導も務める。フロリダとカナダを行き来しながら活動している
村井理子[ムライリコ]
翻訳家、エッセイスト。1970年静岡県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽてち
36
洞窟探検家、水中探検家、作家、写真家、映画製作者等々、様々な肩書を持つ著者の体験を綴ったノンフィクション。その活動はフロリダからメキシコ、果ては南極にまで及び、数々の実績を残している。その一方で、完全な男社会の中で手ひどい仕打ちも受けてきたことが明かされる。常に死と隣り合わせの冒険行は当事者にしか語れないもので、その息詰まる描写におののいた。ぼくは昔から地下洞窟や海底洞窟に密かに憧れていたが、自分で行こうと思ったことはない臆病者なのであった(-_-;)。2022/02/27
翠埜もぐら
23
表紙から勝手に「水中洞窟」に関する科学本だと思っていたのですが、水中洞窟を調査する女性ダイバーの自伝でした。常に死と隣り合わせでその上完全男性社会であるケーブダイバーの世界で、新しい世界に挑み成長し、愛する人と友人を得て、そして失ってなお前を向き続けるという思ったより重い話でした。とにかくよく死ぬ。何せ狭い世界で同職の人とは皆お友達みたいなところがあるのですが、このお友達が次々死ぬ。ケーブダイバーは保険に全く入れないのだそうです。人なのに、人知を超えたところに行っているのですね。2022/04/19
tetsubun1000mg
20
ノンフィクション専門書評サイト「HONZ」で絶賛おすすめされていた水中洞窟探検家の自伝。 冒頭の水中洞窟を2本のボンベを両脇につけて鍾乳洞の様な洞窟を探索する画像に驚かされる。 先が全く分からない未踏の洞窟を潜るなんて、最後の画像は南極の氷山の下を潜水している。 彼女の幼少期のエピソードからスタートするが、学校や女子の集まりには馴染めなかったらしい。デザイナーと広告の仕事で成功していたのに、ダイビングを始めて洞窟潜水にのめり込んでいく。潜水の恐怖がリアルに伝わるが、心理描写を含めた文章が圧倒的に上手い。 2022/02/17
羊山羊
19
凄い多様性を秘めたおすすめノンフィクション!女性の洞窟ダイバーがテーマという、純粋にワクワクする冒険譚でありながら、女性ゆえの社会障壁をものともせずに成功を目指す著者の勇気に心動かされるフェミニズム・ノンフィクションでもある。本著最大の特徴は驚くほどの過酷さと死が満ちている点だ。山に大量の潜水器具を持ち込む。洞窟内で迷えばすぐに死が待っている。「楽しくて型破りな体験をしたいP261」という理由だけでこの大変なことを成し遂げる姿に脱帽しっぱなしな1冊。読み応えバツグン。2022/04/14
鯖
18
洞窟探検家、水中探検家、作家等の肩書をもつジル・ハイナースの自伝。ダイバーがともかくよく死ぬ。登山家は上って死ぬように、彼らは深く潜り、同じくらいよく死ぬ。女性として革新性をもって生きていると自負されてるけれど、確かに彼女を愛する人にしてみれば、幾度も死にかける彼女と共に生きるのはしんどかろうなあとは思う。男性はそれを嫌がるって彼女はいうけども、男女の括りは関係ないと思うよ…、そりゃ仕方ないよ。「もし私が命を落とすとしたら、そこはまだ誰も見たことがない、この世で最も美しい場所のはずだ」 2022/03/06