内容説明
ミスひとつで資格が剥奪される。エアライン・パイロットが恐れる査察飛行、その長き一日が始まった。ボーイング747‐400を操り、成田からニューヨーク・JFK航空を目指す村井知洋機長。彼の隣席で眼を光らせているのは、カミソリのように鋭い査察機長・氏原政信だ。予期せぬトラブル、そして悪天候との闘い―。スーパーマンでありサラリーマンでもある、機長。その誇りとはいったい何か。操縦席の真実に初めて迫る、緊迫の長編小説。
著者等紹介
内田幹樹[ウチダモトキ]
東京都生れ。1965年、全日本空輸株式会社(ANA)に入社。YS‐11、ボーイング737、ボーイング767、ボーイング747‐400などの機長として国内線、国際線に乗務。その間20年以上にわたり、操縦教官としてライン・パイロットの教育にあたった。97年、処女長編小説『パイロット・イン・コマンド』(原書房)でサントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞。パイロットが書いた本格航空小説として、評価を受ける
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感想・レビュー
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れみ
51
パイロットとしての資質をチェックする査察飛行に機長になって初めて臨むことになった村井はベテランの大隈、厳しいと噂の査察機長の氏原と成田発ニューヨーク便のフライトへ。内田さんの他の著書のような陰謀めいたことは起こらないけど、コクピット内の会話からそれぞれのキャラクターが垣間見え、緊迫感ある着陸場面に引き込まれた。久しぶりの再読で最初読んだ時よりも村井が少し子供っぽく頼りないところが気になり、対するベテランふたりの頼もしさにグッときた。特に氏原はすごく好き。身近にいたら面倒そうだけど^^;(続く)2015/02/01
ノンケ女医長
26
全く経験したことのない作品。飛行機には良く乗るけれど、まさか元機長の描いた小説に巡り合えるなんて。手に汗握る航空トラブルで、操縦不能になるという流れかと思いドキドキしたが、良い意味でそうではなかった。査察機長という職責も初めて知ったし、操縦席の描写がとてもリアル。知識も詰まっており、飛行機好きにはたまらないかも。なんと言っても、氏原査察機長の熱意と教育姿勢が、かっこいい。胃がやられるほどの重圧に、うなずけた。2024/05/05
コリディ
12
6点。パイロットが空港に着陸するゲームがあったようだが、一部マニアの方には垂涎の臨場感。ただ私には少し退屈で、せっかく小説なんだから、楽しめる部分が欲しかった。例えば飛行機の中は国内法だが、アメリカ領空を飛ぶ際はパイロットの年齢制限など米国法に従わなくてはならない等の話は面白かったし、もう少しハラハラドキドキさせる展開も欲しかったかな。 2024/06/12
たぬき君
10
新人機長の定期審査で成田からニューヨークまでの査察飛行を描いた物語。専門用語が多くて難しい部分もあったがコックピット内の臨場感が伝わり若手機長の緊張感、査察機長やベテラン機長それぞれの心情が上手く描かれている。判断基準が「家族を乗せたいかどうか」という一言が心に響く。2024/05/13
みっく
9
凄い臨場感だった。チェッカーの氏原と、ベテランパイロットの大隅、主人公の新米パイロット村井。この3人と狭いコクピットにいる様な感覚を味わいました。説明が長く細かいですが、それが実際に飛行機を操縦しているような臨場感を生み出しています。オーロラを眺めている場面では、あまりの綺麗さに鳥肌が立ちました。パニック小説ではなく、どちらかと言えば淡々と進むストーリーですが、最後の雪の中の着陸シーンでは、3人と共に息をホッとついて力が抜け、一旦本を置いてしまいました。作者の内田幹樹さん。亡くなられたのが残念です。2010/12/08
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