出版社内容情報
楽しいことはいつでも、三人一緒のはずだった。クラスであれが始まるまでは──。少女たちの切実で繊細な魂にそっと寄り添う物語。
内容説明
有夢と瑤子と海は幼馴染みの仲良し三人組。中学の合格祝いに買ってもらった自転車もお揃い、大好きなミュージシャンも同じリンド・リンディ。川沿いの街でずっと同じ風景を見ていくはずだった。だけど―。傷ついて、裏切って、追い詰められて…。大人には見えない、少女たちの孤独な魂にそっと寄り添う物語。
著者等紹介
井上荒野[イノウエアレノ]
1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞し、デビュー。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で第139回直木賞、11年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞、16年『赤へ』で柴田錬三郎賞、18年『その話は今日はやめておきましょう』で織田作之助賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
121
私立中高一貫の女子校。瑶子、有夢は、かつて仲良し三人組だった海のいる町に自転車を走らす。スクールカーストの頂点にいるルエカのいじめに逢い転校していった海のもとに、さらに追い打ちをかけるような仕打ちが。海は友達だけどルエカの言うことを聞かなければ自分達にお鉢がまわってくる。ルエカはどこにでもいる。学校を卒業し社会に出ても、程度の差こそあれ人が集まるところには出現する。なんとかこいつをギャフンと言わせたい!瑶子、有夢、海に共通しているのはミュージシャンリンドリンディへの想い「ペルーへ」の合言葉が絆となる。2020/12/27
ゆみねこ
116
仲良しの3人組、有夢・瑤子・海は私立の女子中学校に進学するが、ある日突然海が引っ越して…。クラスで起こった出来事が少女たちの心を苛んでゆく。大好きなミュージシャンの楽曲の歌詞と彼女らのたどり着く場所とは?虐めの過酷さに読むのが辛く、ボスの女子生徒も現実を見ないふりをする担任にも大人のいじめにも腹立たしさ。救いのあるラストで良かった。2020/01/14
なゆ
107
まさか本当に…と他にどうにかと祈るように読んだ。仲良し3人の女子中学生、有夢・瑤子・海。同じミュージシャンが好きでいつも一緒だったのに、海だけ突然H町に引っ越してしまった。3人の関係がこんな変なふうになってしまった経緯が、じわじわ明かされる。クラス内の執拗ないじめ。追い詰められていく有夢と瑤子の、救いの言葉“いつかペルーに”。いじめは巧妙だ。肝心の先生は気付きたくないばかり。親たちは上辺の事しか訊けないのがもどかしい。高齢者専用マンションでの孤立の話もあって、あの波多野さんに拍手!それくらい強くありたい。2019/12/21
よつば🍀
107
井上荒野さんには珍しい女子中学生のスクールカーストを題材にした物語。有夢・瑤子・海は同じ中学に通う幼馴染み。自転車もお揃いなら大好きなミュージシャンも同じ、いつかペルーへ行くのを夢見ている事も。けれど校内でのある出来事がきっかけで海は引っ越し別の中学へと転校して行く。きっかけとなった出来事はそんな事で?と思ってしまうがイジメなんてきっとそんな些末な事から始まってしまうんだろう。ボスに付く同級生にも見て見ぬふりの教師にも呆れる。そんな奴らからは逃げれば良い。あなたを肯定してくれる人は必ず存在するはずだから。2019/12/10
Ikutan
81
大好きな荒野さん。でも今回は読みすすめるのが辛くて、しんどかった。近所に住み、音楽の好みも同じで、一緒に私立中学に通うことになった仲良し3人組。瑶子。有夢。海。ところが、海が理不尽な出来事に声をあげたことで、どんどん悪い方向に。いじめ。スクールカースト。転校しても執拗にいじめられる海といじめに加担させられ苦しむ、瑶子と有夢。そして、いじめは海の母親の勤務先の老人施設でも。何処にでもあることだからこそ読んでいて、リアルでキツいのだ。心配したけど最悪な結果にならずによかったな。そして、波多野さん、天晴れだね。2019/12/23