薄情

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104669073
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

よそ者が本当によそ者になるのは、よそ者と言われた瞬間からなのだ――。舞台はある地方都市。土地に寄り添い紡がれる、迫真の物語。

境界とはなにか、よそ者とは誰か――。土地に寄り添い描かれる、迫真のドラマ。地方都市に暮らす宇田川静生は、他者への深入りを避け日々をやり過ごしてきた。だが、高校時代の後輩女子・蜂須賀との再会や、東京から移住した木工職人・鹿谷さんとの交流を通し、徐々に考えを改めていく。そしてある日、決定的な事件が起き――。季節の移り変わりとともに揺れ動く主人公の内面。世間の本質を映し出す、共感必至の傑作長編。

内容説明

地方都市に暮らす宇田川静生は、他者への深入りを避け日々をやり過ごしてきた。だが、高校時代の後輩女子・蜂須賀との再会や、東京から移住した木工職人・鹿谷さんらとの交流を通し、かれは次第に考えを改めていく。そしてある日、決定的な事件が起き―。季節の移り変わりとともに揺れ動く内面。社会の本質に迫る。滋味豊かな長編小説。

著者等紹介

絲山秋子[イトヤマアキコ]
1966年東京都生れ。早稲田大学政治経済学部卒業後、住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。2003年「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、2004年「袋小路の男」で川端康成文学賞、2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2006年「沖で待つ」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

336
第52回谷崎潤一郎賞受賞。 雪で閉ざされた前橋の風景は、心を閉ざす 宇田川静生の性格形成に影響を与えたのだろうか。情が薄い宇田川の内面を著者は丹念に 描いていくが、現代の地方都市の描写は雪と 被ってひどく寒い..それにしても この情熱の なさは 何なのだろう..男女の顛末もひどく あっけなく 本当に情が薄い物語だった。2016/11/13

ケイ

140
時間をかけて丁寧にゆっくり読んだのだけれど、特別に面白かったわけではない。妙に気になるタイトルの「薄情」は、主人公の男の事ではないようなので、なら何が薄情なのかと思いながらページをめくる。結局余所者を受け入れられない薄情さというのもよくわからないし、描きたかった主題は、薄情な田舎のことか男の事かもはっきりせず…。タイトルに惑わされたような気持ち。主人公が男性っぽくなく感じたのは、作者が女性だからだろうか。2016/09/05

いつでも母さん

134
ほどよい読後感に浸っている。タイトルから冷たい気配を想像した私はまだまだ浅い。これが『薄情』ならば、人生・人間、大体がそうなのではないだろうか。群馬の事も学ばせてもらって『楽山園』も訪れてみたい。「一歩違えば見えるものも違う」は、なんと的を射た言葉だろう。途中何度も『芥川賞』が過ったのだが、どんどん良くなる。その空気に同化した私がいた。特に最後数ページは良い!絲山作家、滋味豊かなと帯にあるのは本当でしたね。2016/01/24

なゆ

117
何に対しても熱くなれず他人ともなぜだか深く関わろうとしない宇田川静生。自分には何かが欠落していると思いながら。でも知り合いの木工職人の工房で集う人達の空間は心地よいと思っている。そんな宇田川の日常にもいくつか心を波立たせる出来事が…。よそ者、境界、とふと心に引っ掛かる言葉についても宇田川と共に考えつつ、薄情なのは宇田川か、それとも他の人達か、いやいや薄情ってそういう意味だけじゃないってことだよね、と。薄くて浅い交わりのなかで、深い深い話が広がっている。珠玉の文章もいっぱい。最後のエピソードが光ってて好き。2016/02/25

chimako

101
何とも感想の書きづらい本だった。地元に足をつけ生活しながらも都会から来たよそ者に持つ憧れや嫉妬や見栄が漂う場所、変人工房。そこが燃えたことによって気づく自分の中の毒。条件付きで東京の大学を出て伯父の後継として神主修行中の宇田川。離婚して地元に帰ってきた蜂須賀。変人工房の主、工芸家の鹿谷。問題なかった位置関係が、火事と不倫という田舎の一大事でがらりと変わってしまう。「よそ者」はあっという間に削除されていく。田舎に住むよそ者としてはわかりすぎて何となく嫌な感じになる。相変わらず上手いなあと感じて本を閉じた。2016/07/07

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