出版社内容情報
ついに支那との全面戦争に突入――満州事変から六年。敷島四兄弟が人生の岐路に立つなか、戦火は上海、そして南京へ。「南京大虐殺」のすべてを描く最新刊。
内容説明
満州事変から六年。理想を捨てた太郎は満州国国務院で地位を固め、憲兵隊で活躍する三郎は待望の長男を得、記者となった四郎は初の戦場取材に臨む。そして、特務機関の下で働く次郎を悲劇が襲った―四兄弟が人生の岐路に立つとき、満州国の命運を大きく揺るがす事件が起きる。読者を「南京事件」へと誘う第五巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
77
満州国国務院に出向した敷島太郎、特務機関に協力して抗日ゲリラの壊滅に挑む次郎、厳しい現実と向き合いながら仕事に取り組む三郎、間垣中佐の支持や助けで新聞記者として働く四郎。現役武官制復活で軍部を抑える歯止めがなくなり、軍部の横暴が激化する。軍部内部では、統制派が実権を握り、戦争へと突き進む。西安事件で国共合作が成立し、抗日の機運は高まる。第二次上海事変、南京攻略と日中は全面戦争へ突き進む。戦争の狂気が、次々と語られ、気持ちが落ち込む。まさに、敷島三郎と四郎の眼にした現実は語るのもおこがましい悲惨さだ。2026/03/12
キムチ
37
文字通り、灰塵の時間が刻まれて行く。日中戦争がドンパチ繰り広げられている空の下で、種々の思惑やら権謀・商談・男女のもつれまで有象無象の出来事だらけ。4巻まで丹念に追い続けた話、5巻の中ばから、何故か頭の中に入ってこない。悪戯に文字を追うだけ・・何とか読了。手練にたけた胡娘に溺れる太郎、次郎は哲学的思惟の彷徨へ。三郎がこの当時の軍国エリートらしい歩み方をしているかも。四郎はややもすると等身とはいいかねる場面に置かれてばかり。難しい時局の捉え方、南京大虐殺の場面を読むのみでは語り足りない。2015/01/01
KAZOO
29
2.26事件の決着からその後、内閣もころころと変わり、日中戦争へと突入していきます。それとは別に主人公のひとり、特に次男の動向がかなり大幅に書かれています。今まで寄り添ってきた従者(馬と犬)が死んでしまいいよいよ一人になってしまいます。船戸さんも結構下世話な話が好きですね。小沢征爾の父親のことを書いたり、その名前の由来を書かれています。2014/06/26
いくら
27
二二六事件の清算と盧溝橋事件から日中戦争のはじまり、南京大虐殺と連なる第五巻。最初の三章は章末がすべて次郎のシーンで次郎ファンとしては嬉しいかぎり。ただそんな喜んでばかりはおられず、今回は辛い場面ばかりで、なんとも。そして巻末の酸鼻を極める南京大虐殺。破滅への曲がり角なのか。2014/05/10
NAO
21
この巻では、敷島四郎が長兄太郎の噂を聞いて、「兄はいつも勿体つけて問題を先延ばしにしていた」と手厳しく評価している場面が印象的だった。四郎の言葉は、当時の日本を暗示しているようだ。次郎は、彼の自由の象徴とでもいうべき愛馬風神と愛犬猪八戒を失う。この喪失によって、次郎は心のよりどころを失くしてしまったように見えるのがちょっと気になる。日本の人口問題と、農村不況。この問題を解決するために満州移民という国策を取らざるを得なかった日本。この国の矛盾が、満州で大きく渦巻いている。2015/07/08




