内容説明
摩訶不思議な妖怪たちに守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいる江戸有数の大店の若だんな・一太郎。ある朝起きると、目から光りが奪われていた!その理由は、空前絶後のとばっちり?長崎屋絶体絶命の危機に、若だんなが名推理。だけど光りの奪還には、暗雲が垂れこめて―。佐助は妻と暮らし始め、どうなる、若だんな?絶好調「しゃばけ」シリーズ第八弾。
著者等紹介
畠中恵[ハタケナカメグミ]
高知県生まれ、名古屋育ち。名古屋造形芸術短期大学ビジュアルデザインコース・イラスト科卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文庫フリーク@灯れ松明の火
189
筋金入りの病弱若だんながさらに失う眼の光。久々に佐助・仁吉が活躍ですが仁吉は活躍と云うより災難ですね。よるべなき万太と小ざさ。残された河童は切ないけれど転がる一文銭は止まらない。若だんな十二歳の淡い想いと思えば伏線だった生目神。我が家は日蓮宗ですが過去帳有ります。限りある儚い人の身。まつろわぬ神感じる生目神。速度の異なる砂時計。さらさらと無音の内に流れ行く砂。再度ひっくり返すこと出来ませんね。人の浅ましさ、人間臭いあやかし描く様式美の安定感。毎度のことながら柴田ゆうさんのイラストが愛らしいです。2011/04/23
kariya
150
ころころと転がるものは誰かの大切な光か、それとも置き去られた人ならぬ身の心の欠片か。若だんなの目が急に見えなくなったのは、どうやら神様の意趣返しらしい。鳴家、妖たち、そして勿論二人の兄やが追いかけた謎の先には、時から外れた哀しい想いがあった。若だんなの初恋や、思いがけない人の夫婦の様、若だんな以外に振り回される仁吉など、普段と違う姿がたくさん。何より鳴家の大活躍が可愛くて楽しい。ちょっと笑えてちょっと哀しい大騒動の後で、最後にはあの誰かの探し物も見つかっているといい。たとえ願っていたものと違っても。2009/10/25
エンブレムT
129
家鳴も活躍していつも通り可愛い♪なのに「今回はホッコリ度が低いような?」と、思いつつ読み進めました。・・・成程!5つの連作短編集の主役は、淡い恋を経験した若だんな(うぅ、可愛い)ではなく、保父さん状態になった仁吉(好きだ!笑)でもなく、意外な結婚生活を披露した佐助(今回、株が上がりました)でもなく、生目様という神様だったのね!ラストの『物語のつづき』を読んでストンと納得できました。生目様の切なさが全編を薄く覆っているような感じがします。人に、時に、置き去りにされるのは、妖達も同じなのかな・・・。2010/01/16
ドナルド@灯れ松明の火
115
生目神にまつわるところは何かいつもとは違う感じがあり若干とまどうところもあった。「物語のつづき」で上手く決着がついて良かった。2011/02/24
じゅん
105
登場人物それぞれが愛らしいキャラクター性を持っているのが、とにかく魅力的。目が見えなくなった若だんなのために、がんばる妖たち。人間とは違う存在やからこそ、感覚も違うし大変なんやろうけど、人間味のあるそのキャラクターに楽しまされた作品です。2010/10/26