出版社内容情報
《残念ながら日本という国はもう終わっている》――3・11からパンデミックまで、ジャンル侵犯し刻まれたこの10年間の魂の叫び!
目次
Novel 人生は驚きに充ちている
Interview 古井由吉氏にズバリ訊く vs.古井由吉
Interview 21世紀のクラシック音楽体験とは? vs.浅田彰
Reportage 一斗缶4個の人生
Reportage 廃墟が語りかけてくる
Essay 五輪総合演出「秋元康」という悪夢
Essay すき家、マルクス、ブラック企業
Reportage ショッピングモール空間探検記
Diary 戒厳令の昼のフランス・ツアー日誌 2020・3・4‐3・17
著者等紹介
中原昌也[ナカハラマサヤ]
1970年6月4日東京生まれ。作家、ミュージシャン、映画評論家、エッセイスト。1988年頃より音楽活動を始め、1990年にノイズユニット「暴力温泉芸者」を立ち上げ、国内外で高い評価を受ける。映画評論も手がけ、1998年には小説家デビュー。2001年に『あらゆる場所に花束が…』で三島由紀夫賞、2006年『名もなき孤児たちの墓』で野間文芸新人賞、2008年『作業日誌2004→2007』でドゥマゴ文学賞受賞。並行して「HAIR STYLISTICS」名義での音楽活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
73
もう書かないと聞いていた著者だが、図書館でこの新刊を見つけ借りる。表題作の短編小説と対談2つとルポ数本、フランス演奏旅行日記などの雑文を集めたもの。ムージル的な古井由吉的な表題作のあとに、先日亡くなった古井との対談2006年のがあり驚く。一番新しい旅行日記は2020年3月のコロナ騒ぎの発端あたりのもの。見るものすべてに、感激もなく気負いがないのでやる気がないようにもみえるスタンスはいつものようにある種の誠実さを感じる。まあファンであれば。相変わらずの著者自身による装丁に脱力。2020/09/13
ネギっ子gen
47
ミュージシャンや映画評論家など多彩な顔を持つ作家が、「ごった煮」の本を出した。古井由吉氏との文学問答が絶品❗ 古井氏は語る。「やっぱりどこか忌まわしい仕事なんだろうね。ここ2年くらいのことですけど、書く度に、書くということに対する憎しみや苦しみに苛まれて、それは堪えますよ」と。これに呼応するように著者は「あとがき」で、こう書く。<特に書いてて楽しいとかはないけれど、楽ではあった。これを書いているのは50歳になる前日なのだが、残りの人生もこうした楽しい仕事で終わるように心がけたい! と願う>と。ま、うん。⇒2024/08/11
aloha0307
20
「誰の欲望も満たすことの絶対にない小説」が指針の本書 小説、ルポ・エッセイ、紀行 と様々な形体です。世界と自分の距離ぐあいをしっかりと見据えている感。「僕は、都市にいても荒野を幻視する癖がある」 世界と自分との距離が好ましく感じられる瞬間~そこにあるような手触りのタッチか...2020/11/29
ズー
13
中原さんのノイズ系音楽は聞いたことがあり、本も書く人だったのか!と、読んでみる。想像通りな不謹慎感。でも目を背けていたり 忘れていたり、普通行かないだろってとこに行ったりしていて、自分の本来なら知り得ない世界を見せてくれて面白かった。共感する所もわりと多かったり。もっかい中原さんの音楽や、よく聴いてるという音楽も聞いてみたくなった。2020/11/28
garth
11
ジェネシスもかつて「自分の曲を世界の終わりに聴きたい」と極めてクールに言ったが、ジェネシスが亡くなった日に、こうして誰もいない暗闇に佇む……普段ならまさしく恐ろしいことが起きる前触れの不吉な時間であるはずなのに、それは突然自分が笑い出してしまうのを、堪える4歩まえの状態。2020/08/24