内容説明
フィリピンから日本の北の町に嫁いできたエテル。愛称はテルちゃん。可愛くてやさしいテルちゃんは地域の人気者だが、ひとり息子が生れた幸せもつかの間、最愛の夫が急死してしまう。風習の違う日本で子供を育てながら奮闘するテルちゃんの行く手に待っているものは…。家族とは、愛情とは―。かけがえのない縁の不思議、待望の連作長篇。
著者等紹介
玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
1956年、福島県三春町生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒。様々な仕事を経験した後、京都、天龍寺専門道場に入門。現在は臨済宗妙心寺派、福聚寺住職。2001年、「中陰の花」で一二五回芥川賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
24
30代で義母の下の世話を、淡々と優しくやっているテルちゃんと、2人の男の子達が、ふざけずに真摯に手助けしているのに感動しました。 フィリピンに伯父の葬儀で里帰りしたテルちゃんが、帰ってきてくれるかと心配する玲子さんの気持ちも分かるものの、テルちゃんを思うと、ちょっとイライラ。 義母を看取った後、周平さんが現れて・・・テルちゃんには幸せになって欲しいと夢見ながら読み終わりました。2014/06/27
あっ!chan
12
フィリピンからやってきたテルちゃんは、ある時は竹取物語のかぐや姫、またある時は浦島太郎の乙姫さま、またある時はおむすびころりんの白ネズミに見えてしまうのだから凄い!愛情に溢れ、おっとりした性格が皆に愛され、自ら亡き夫の母親の面倒をみる姿を頼りにされて…義理のお姉さんから見たテルちゃんを取り巻く人達の日々の人間模様や自らの心の葛藤が、生々しくもありほっこりもさせられる。これも作者が仏門に入っている事のせいなのかなぁ?ありきたりの感想だが、思いやりや労りの気持ちの大切さを改めて考えさせられた。2014/06/24
rizu
6
日本の昔話が随所に出てきてお話を膨らませてくれた。健気なテルちゃんが幸せになってほしい。読み終わって優しい気持ちになれた。2021/02/28
Kohn
5
フィリピンから日本に嫁いできたエテル通称テルちゃん。嫁いだものの旦那は病死、テルちゃんはフィリピンに帰らず義母の介護に明け暮れる。そんなテルちゃんの優しさに打たれた。日本人として忘れがちなマインドを思い出させてくれる。心安らぐ作品です。2011/05/14
pin
5
玄侑さんの小説初めて読みました。テルちゃんのほわんとしたやさしさがとてもうらやましい。2008/11/03
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