内容説明
「霊泉」を利用した温泉療養施設には、重い病に悩む客たちが遠方から大勢集まり逗留する。僧玄山はそこで書道教室を開きながら客たちの相談相手にもなっている。末期ガンの久美子は明るく振舞う人気者だが深い孤独を抱えたクリスチャン。しかし身寄りのない男を助けた久美子は玄山に自らの「罪」について衝撃的な告白をする。クリスチャンの女性と禅僧の出会い。現役僧侶による話題の芥川賞候補作。
著者等紹介
玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
1956年、福島県三春町生まれ。慶応義塾大学中国文学科卒。様々な仕事を経験した後、京都、天龍寺専門道場にて修業。現在は臨済宗妙心寺派、福聚寺副住職。『水の舳先』は投稿作品として「新潮」に掲載され、第124回芥川賞候補となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
8
温泉施設「ことほぎの湯」には霊泉を求めて重い病を患う人が集まってきます。「ことほぎの湯」を舞台に生と死、そして罪と罰について問いかけた著者のデビュー作です。これがデビュー作だからかもしれませんが、著者の「龍の棲む家」と比べると、どうも話の内容が印象に残らない。でも情景の描写の美しさには思わずため息がでました。★★★2010/10/21
あさはる
2
私には何とも言い難い小説。とある療養所に集う末期ガン患者達、そこに関わる1人の僧侶。ある女性患者の思いもよらない懺悔。テーマは重く苦しいけれど救いというか光を感じました。2016/07/15
shippo
1
この人の小説にはいつも「死」がテーマの中心に来る。今回は末期の癌患者や不治の病を持つ人達が病気療養に集まる湯治場が舞台。死は常に身近にあるのに、この人達の日常は暗くはない。この湯治場の水を飲めば病巣は無くなるという信仰にも似た確信があるから。仏教とも言い、キリスト教とも言い、またはイスラム教、神道…どんな宗教だとしても人が信じる元は同じものだという気がする。2012/05/06
ミカヅキカゲリ
1
こまやかな小説だった。2010/07/27
しわじい
0
「ガンに効く」という噂が広がり、末期ガンの人が数多くれる湯治場。そこにできた宿泊施設の一部で書道教室が開かれている。その宿泊施設を作った建設会社の社長に頼まれて僧侶である玄山が教え、重い病を患っている人たちと会う。まぁ、そこでの人のふれあいというか、なんというかの話なわけだけど、残念ながら何も感じ取るものがなかった。「水の舳先」というタイトルも、なんでそのタイトルなのかよくわからない。まぁ、温泉の効能、ガンの患者が自然食など食生活を変え水を信仰の対象のようにしているところからなのだろうが、それでも今一つ。2013/02/18
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