出版社内容情報
これでまた、一緒にうまい酒が飲める――日々江戸で起こる事件の向こうに、人の思いが見え隠れ。心やすらぐ時代連作シリーズ第二弾。
これでまた、一緒にうまい酒が飲める――心やすらぐ人情捕物帳、第二弾! 浅草・田原町で小さな古着屋を営む喜十。北町奉行同心の片棒を無理矢理担がされ、今日もまた、誰かのために東奔西走。そんな中、店先に捨てられた赤ん坊を女房が引き取ると言い出した。突然父親に仕立て上げられ、戸惑う喜十だったが――。日々のよしなしごとの向こうに人生のほんとうが見えてくる、ほろりと泣ける連作集。
内容説明
店の前に捨てられていた赤ん坊を、養子にした喜十。ある日、生き別れになった赤子のきょうだいが突然、姿をあらわした。北町奉行所隠密廻り同心の上遠野平蔵は四人の子どもをそのまま引き取れと無茶を言ってくるが…。心やすらぐ時代連作集。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949(昭和24)年、北海道函館市生まれ。函館大谷女子短期大学卒業。’95(平成7)年「幻の声」でオール讀物新人賞受賞。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年に『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shinji Hyodo
82
古手屋(古着屋)日之出屋の主人喜十に女房のおそめ。この夫婦の店前に捨てられていた赤ん坊の捨吉の出生が明らかになるが、これもまた哀しいお話で…母親に言い付けられて泣く泣く捨吉を置いていった兄の新太のそれは哀れな結末に、ちょいとばかり宇江佐さんに文句を付けたかった。伊与太もそうだったが、捨吉のおしゃべりもかわゆいな…周りを幸せな気持ちにしてくれる…時折憎まれ口をきくのはご愛嬌ってなもんだ。今回も六編の良き物語でした。お元気ならばこれも続くシリーズだっただろう…合掌2016/11/29
ぶんこ
75
一巻を微妙に忘れていたのですが、捨吉の酷い母親ぶりを読んでいて、喜十の優しくて大らかな母親を思い出しました。 それにつけても新太が可哀相。 捨てられた捨吉が、むしろ兄弟姉妹の中で一番恵まれる事になったなぁと複雑な思いがしました。 上遠野が、ケチで図々しいだけでなく、捨吉の姉達の消息を調べて、なんとか喜十に面倒見させようとほねをおったのは評価してもいいかな。 2015/12/06
アッキ@道央民
62
【北海道出身の作家を読むコミュニティ】古手屋喜十を主人公にした作品の続編。前作で引き取る事にした捨吉のその後が気になっていました。今回冒頭のお話しで捨吉の実の兄弟達が明らかになりますが、兄の新太のお話しは悲しかったです。何だかんだ言いながら捨吉を育てる喜十・おそめ夫婦、捨吉の成長には思わずほっこりしてしまいます。いつも無理難題押し付けてくる北町奉行所の上遠野。何だかんだ言って引き受けてしまう喜十。好きだなぁ♪素敵な江戸人情話ですが続編が読めないのは残念です。2016/04/11
Makoto Yamamoto
51
『古手屋喜十為事覚え』第二巻・雪まろげ 子供がなかった喜十夫妻が捨て子を養子としたのが全巻だった。 この巻ではその養子の兄・姉が登場してきて、第三巻へつながると思えるのだが、それが叶わないのが本当に残念。 家の事でしっかりしているおそめの存在感が好ましく思え、今後の展開を期待していた。2019/08/13
むぎじる
45
シリーズ第2弾。前作と比べて格段に読みやすくなっているのは、やりきれない悲しみをしょいながらやってきた新しい家族の存在だろう。子どもに恵まれない喜十とおうめ夫婦のもとに、捨吉という新しい家族が増えた。愛くるしくもあり小生意気なさまも見せるこの小さい命は、いつの間にかこの夫婦の中心に違和感なくすっぽりとおさまっている。ぶつくさ言いながらも上遠野様のいいつけをこなしたり、人のおせっかいをやいたり、人情の厚さが変わらない喜十の人の良さも楽しめた。2016/04/05