内容説明
1992年3月5日。その日は、冷たい霧雨が降りしきっていた。男は、一面識もない一家を次々と刺殺。惨劇は14時間に及んだ…。少年の名は関光彦、19歳。果して、この男に贖罪は、あり得るのか。人間の恐るべき「不可解さ」を炙りだす傑作!少年犯罪の核心を抉るノンフィクション。
目次
1 軌跡
2 暴力
3 惨劇
4 遺族
5 手紙1
6 フィリピン
7 手紙2
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
M
48
結局凶悪殺人犯に何を求めて真意を推し量ろうなどとするのだろうあなたも私も。というような虚しさがまとう。たらればを言っても過去は変えられないし、願っても思う何かは得られず。通り魔的凶行に遭遇する確率を下げるには決して夜中に独りで出歩かないということくらいしか学べなかった気がする。凶悪犯を生むのに環境はそれを後押しするだけと思えた。いつ死刑になるか知れぬことが怖いとか黙れ。自衛にだけ人間味出すのが怖気。被害者の無念を思えばそもそも彼らより長く息して飯食ってるだけで贅沢。遺族にとってはなんの救いもない。2021/12/25
むう
24
重い、ひたすら重いルポルタージュでした。先に読んだ「デッドウォーター」(以下「小説」)著者永瀬さんのノンフィクション作家時代の作品で、小説の主人公ルポライター氏は正しく永瀬さん本人、獄中の死刑囚は本作主人公の未決囚という構造です。本作はノンフィクションで、小説はそれにインスパイアされた創作です。しかしまあなんと良く似ていることか…。 ウィキペディアに拠ると著者は執筆中に精神的におかしくなったとありますが、さもありなんと容易に想像できます。理不尽としか言いようのない事件、犠牲者のご冥福を心からお祈りします。2017/02/24
パグ犬
23
実際にあった残虐な事件の実録。死刑囚となった事件の当事者が、事件の前後と事件当日の様子を詳細に著者に語っている。"人を殺してはならない"という規範が彼の中には存在しておらず、それ故、“規範を乗り越えてしまった“という反省の意識もない。重い内容だった。2016/05/08
藍沢
11
初めの方は淡々と読めたかな。でも途中から生い立ちの話になって…あららー、と思ったね。そして少年は自分が殺人を起こした事を全部生い立ちのせいにする。じゃあ弟はどうなる?君と違って全うじゃないか。暴力で何でも解決しようと結果だね。死刑になっても反省の色も見せないし…。反省してるとしても遅すぎるよ。2014/02/27
naolog
7
図書館にて。深夜の強姦事件と、ある少女一家に乗り込んでの惨殺事件。その犯人とされる者の足跡を追った本。終盤に出てくる『みっともない』という言葉がどこかしっくりくる。何かをやらかしてしまったとき、あぁやってしまった、やり直したい、という気持ち。世間から見れば殺人事件は同列に語れないし、狂っていると言われるのだろうが。どんな人間も安らぎを求めているのだなぁ。2024/06/17