出版社内容情報
「釣り」は趣味ではない。命懸けの≪勝負≫なのだ――。かつてない“武芸帳”、見参! 武士たるもの、泰平の世にも精進あるべし。磯釣りが「武芸」として奨励されている羽州大泉藩の武士・前原又左衛門は、仕事へのやる気は今ひとつでも釣りには真剣。ある日、藩主が磯釣り中の事故で卒した現場に居合わせたことからお家騒動に巻き込まれる。人情と郷愁、手に汗握る勝負――時代小説の魅力を満喫する痛快作。
【目次】
内容説明
磯釣りが「武芸」として奨励されている大泉藩。勘定目付の前原又左衛門は、仕事は不真面目でも釣りには真剣。妻の小言にも負けず、自慢の荘内竿を手に鍛錬に励む日々だったが、藩主が磯釣り中の事故で卒したことからお家騒動に巻き込まれ…。人情とふるさとの味、手に汗握る勝負―時代小説の魅力のすべてが味わえる傑作登場!
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞、2014年『小説フランス革命』で第68回毎日出版文化賞特別賞、20年『ナポレオン』で第24回司馬遼太郎賞、23年『チャンバラ』で第18回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
16
最後は派閥争いの必然的結果としてストーリーは幕を降ろすのですが、又左衛門と藤兵衛、どちらが得をしたといえるのやら。 現代サラリーマンの定年退職問題にも通じるような、現代的顛末です。最後まで、楽しめること、間違いなし! ※釣りの様子に加え要素もたっぷりで、実に楽しき哉。2026/04/04
サケ太
16
個人的快作。釣りを武用の一助とする大泉藩にて釣りにのめり込む男たち。藩主の突然の死から、藩を二分するお家騒動。釣りでの決着。釣り自体を勝負とし、様々な流派や釣る方法が出現し、ワクワクさせてくれる。出てくる魚や食べ方がいちいちおいしそう。テンポよく、様々な展開で楽しませてくれた。2026/02/24
Abercrombie
3
釣りが武用の一助と奨励される大泉藩での跡目争い。敵味方に分かれながらも、互いを信頼し続ける釣り友二人の姿が爽やか。ちょっと物足りなさはあるけど面白かった。2026/04/07
DI
2
磯釣りが武芸とされる藩で、息子と娘が結納を交わした父親二人に、当代藩主が隠密の釣りの時に事故で亡くなる。その後のお家騒動に別々の思惑を持つ者達に引き込まれる。釣りさえすることができれば良かったのに欲を持つ者達に翻弄されながらも、我が家のことも考える二人の生き方が人として正しいのは何なのかと思ってしまう。現代にもある社会構造に好きなことだけをすることの難しさをひしひしと感じた。2026/03/31
きーの
1
釣りと侍…、なんとも奇妙な組み合わせのタイトルだな?と思い手に取った。天下泰平の世に武士の鍛錬として釣りを推奨する藩を舞台に、長らく釣りに興じてきた一人の侍を通して描かれるのは釣行と娘のことと周囲の思惑から持ち上がる藩の跡継ぎ問題。道楽を自覚しつつも止められない亭主に向ける奥方の言動は何時の世も変わらず…(汗)。往々にして醜いお家騒動も「釣り勝負」との流れは本作ならでは!当時の道具を調べてみたが和竿の加工技術は弓と矢のそれに通じるとかテグスの語源が原料の幼虫に因むとか、勉強になりました。2026/04/09




