内容説明
旧満州には、開拓のために海を渡ってきた男達の妻の養成を目的とした、「開拓女塾」と呼ばれた施設があった。国策の進めるまま海外への希望をもち、海を渡った女達に強要された結婚、出産、過酷な開拓、そして敗戦、逃避行…運命は次第にねじれていった。昭和史の裏側を生き抜いた女達の生々流転を新鋭が描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ざまたかこ
3
私たちはこの時代から遠くまで歩いてきたはずなのに気がつけばまだこの近くに 立たされているのではないだろうか。 満州開拓団の男性を定住させるために、そうとは知らずに花嫁候補として送り込まれた娘たちの人生を負った丁寧なルポルタージュ。貴重な文献だと思います。人の命が、尊厳が、社会状況によってはこんな風にあしらわれるのだと読みながら胸がつまりました。日本は豊かな国だと思っていたのですが、つい最近までこの問題は問題のままだったことを知り、戦争が人から奪うものの大きさを考えさせられました。2014/08/08
ミュンヘン
1
女性が生きているだけでしがらみの多い時代、少しでも自分らしく生きたいと願った女性たちが、国ぐるみでだまされ嘘に翻弄され、戦争が終わっても彼女たちの悲劇は終わらない。少年は純粋だから国家や軍の嘘にだまされやすくて少年兵になりやすいという話を読んだことがあるが、少女だって純粋で、ささやかな夢も持っていて、でも自身や大人たちの「無知さ」が彼女たちを満州の僻地に追いやり、入植者との望まない結婚を強いられ、子どもが生まれたのに敗戦で土地から自分たちが追いやられる。自分がこの時代に生きていたらどうなっていただろう。2014/03/30
レコバ
1
国策により満州に入植し、敗戦を迎えた女性たちの記録。物事が上手く行かなくなった時にそのしわ寄せは容赦なく一番弱い人達を襲う。ミクロの記録はそう物語る。2014/02/09
-
- 和書
- 基本演習・微分積分