内容説明
ある夜、“水村美苗”は奇跡の物語を授かった。米国での少女時代に出逢った実在する男の、まるで小説のような人生の話。それが今からあなたの読む『本格小説』…。軽井沢に芽生え、階級と国境に一度は阻まれた「この世ではならぬ恋」がドラマチックに目を覚ます。脈々と流れる血族史が戦後日本の肖像を描く。
著者等紹介
水村美苗[ミズムラミナエ]
東京生まれ。12歳で渡米。イェール大学仏文科卒業。同大学院修了後、帰国。のち、プリンストン、ミシガン、スタンフォード大学で日本近代文学を教える。1990年、『続明暗』を刊行し芸術選奨新人賞を、1995年には、『私小説from left to right』で野間文芸新人賞を受賞。また、1998年、辻邦生氏との往復書簡『手紙、栞を添えて』を刊行
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
49
本屋さんで見かけたら読まなかったであろう題名と装丁ですが、「作家の読書道」で2人の作家さんが挙げられていたので興味を持ちました。米国で成功した日本人の物語ですが、本題に入る前の序章ともいえる部分に、私小説と小説の中の「本格小説」ともいえる小説について、長々と書かれているのを読んで、題名に納得できました。作者本人が親の米国赴任時に父の部下として知った東太郎の成功譚と、その後に知った生い立ち、幼い頃からの憧れの人との物語を小説にしようとしたとあります。実話と書いてありましたが、全部がそうではないようです。 2015/09/07
kazu@十五夜読書会
31
導入までの長い長い話の後、ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちとなった伝説の男・東太郎の過去を、三姉妹の夏絵の住み込み女中冨美子の目を通して、伯父の継子として大陸から引き上げてきた太郎が、隣家の恵まれた三姉妹の夏絵次女・よう子との幼い出会いまでを、混乱の戦後から、まだ優雅な階級社会が残っていた昭和の軽井沢を舞台に、描かれる。(構成がうまく⇒よく練られた古典を読むような感じ) 2013/02/08
☆すずか☆fighters!o(`^´*)
7
読みきれず返却日になってしまったので一旦返却。356ページまで。2014/12/14
爽
7
現代の「嵐が丘」だそうなので前から気になっていた。序章の部分の方がおもしろかった。知らない間に覚える恋心は、いつの間にか自分になくてはならないものになっている。今もこれからも遠い世界にいる人だからこそ、より熱く燃えるような恋になる。下巻でどんな展開になるのか楽しみ。2010/08/11
ふみふむ
6
東太郎は一体何者で何をしでかしたのか。周辺の人々のエピソードをふんだんに盛り込んだ重厚なストーリー展開にいつの間にか引き込まれた。太郎の幼少期の日々に心が痛む。2012/03/26