いつも彼らはどこかに

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104013074
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

動物たちがいるから世界は素晴らしい──動物たちの気高さ、優しさを、新鮮な物語に描き、震えるような感動を呼び起こす連作。

この世界が素晴らしいのは動物たちがいるから――震えるような感動を呼び起こす連作小説。たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かい――ディープインパクトの凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛……。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。

内容説明

たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かい―ディープインパクトの凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛…。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。

著者等紹介

小川洋子[オガワヨウコ]
1962年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年、『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、06年、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、13年、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

387
2012年6月から毎月「新潮」に連載された8つの短篇。いずれも概ねはリアリズム小説だが、それぞれに微妙にズレてはいる。そして、そこに小川洋子さんらしさが発揮されている。篇中では「愛犬ベネディクト」を唯一の例外として、主人公はいずれももはや若くはない。そして、やはりいずれも社会の傍流にいて孤独だ。したがって、小説群を覆うのは寂寥感であり、ある種のやるせなさだ。ここにあるのは、けっして強い感動などではない。小説は、ひたすらに寂しく、黄昏の趣きに終始する。それは、いわば、しみじみとした他者性への共感なのである。2014/10/25

ハイランド

245
心の何処かが欠損している人たちの静かな日常。その欠損を埋めようと、人はいろいろなものに心を託す。ビーバーの頭蓋だったり、ブロンズの犬だったり、イベント用の日めくりの看板の兎だったり。しかし似たようなピースでもぴったり当てはまらなければ、ジグソーパズルは完成しない。埋められない欠損を抱えた人たちの生は心に違和感を抱えながら続いていく。作者特有の静謐と哀愁と死の匂いとグロテスク。心の奥のいつもは目覚めていない感覚が呼び起こされるような気にさせられる。誰にも勧められるわけではないが、きっと必要な人がいる小説。2016/07/10

風眠

227
スーパーのベテラン試食販売ガール、死んだ翻訳家の息子と小説家、オリンピック開催まで日めくりをめくる男、個人美術館の受付嬢と修理屋の男、ドールハウスという自分だけの世界で生きる妹を見守る兄と祖父、断食施療院に入院している中年女性と風車守の男、そして、身代わりで旅をする仕事をしている女性。彼らはみな静かで孤独の中に暮らしている。その孤独はとても美しいが、それゆえ哀しくもある。遠くにひっそりと誰かや動物の影を見ている。感動とはまた違う、震えるような感情が波立つ短篇集。手元に置いて何度でも読み返したい。2013/09/16

やま

206
いつも彼らはどこかに 2013.05発行。字の大きさは…小。 帯同馬、ビーバーの小枝、ハモニカ兎、目隠しされた小鷺、愛犬ベネディクト、チーター準備中、断食蝸牛、竜の子幼稚園の8話。 動物を題材にした短編を「新潮」に連載したものを書籍化したものです。 翻訳家が、仕事をする時に、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバーが齧った小枝が、物語の登場人物としてチェスの駒のように組み立てられていることを原作者は、…知ることとなります。 物語の中に登場する動物達が、突然に現れることが有りビックリさせられます。2020/11/04

みっちゃん

140
悲しみをそっと胸の中にしまい込み、控え目につつましく生きる人たち。手入れが行き届き、よく手になじんだ道具によって進められる彼らの仕事へのこだわりは、あるいは奇異に映るかもしれません。何か劇的な出来事が起こるわけではないのです。でも、敬虔さと慈しみに満ちた文章を読み進める程に、心はしん、と静まり、厳かな心地が広がっていきました。第三話の野球とおぼしき球技の、ひたすらまわりくどいルール説明にはおかしみがあり、クスっと笑いがこぼれました。2013/09/09

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