出版社内容情報
迂回路が魔を呼び込んだ。山津波ぶ呑まれた村々、極限状況の人間模様。中継抜きで歩き通す幕末の「通し飛脚」ならばこそ、胸躍る3つのサバイバル劇場!
内容説明
中継抜きで疾風のごとく駆け通す―スピードと信用が売物の、幕末の流通革命「通し飛脚」。注文主の難題を担いで江戸を発つ身ゆえ、予期せぬ異変は常のこと。切れかかった命綱をたぐり寄せつつ、ようやく見えたのは鬼か仏か―。越後の川に堰かれ、甲州上総の森に迷い、百里四方に展開する三つのサバイバル劇場。
著者等紹介
志水辰夫[シミズタツオ]
1936年、高知県生れ。1981年、『飢えて狼』でデビュー。1986年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、1991年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
43
面白かったです。3編の短編の主人公が皆優しくて格好良い。たくましい成長と血が暑くなる様子は見ていてときめいてしまいました。人情も胸に灯ります。2021/12/23
楽駿@新潮部
26
川崎図書館本。仕事の事だけを考えたなら、そこで戻らなければいいのに、やっぱり気になって、戻ってしまい、厄介ごとを二つ三つ、しょい込んでしまう人の良い、お節介さは相変わらず。そうだよね、100人いたら、99人は悪いことを考えていたり、そんな気はなかったけれど、目の前にお宝を見せられたら、つい、欲の皮がつっぱちまったり、実のところ、人間なんて、今も昔もそんなもんだろうって解っているさ。それでも、こうして、100人のうちの1人の親切な人に出会えたりするから、このシリーズは魅力的。普通に暮らすって、案外大変だよね2020/01/15
真理そら
18
『引かれ者でござい』『旅は道連れ』『観音街道』蓬莱屋の帳外仕事は相変わらず優しくてお節介でカッコイイ男たちががんばっている。女は現実的でしたたかであるということを強調した『旅は道連れ』が好きかな。いせさんの強さが続くように祈るばかりだ。2018/06/12
アルラ
6
「つばくろ越え」と二作続いて読了。少し長めの構成はそれぞれの話に厚みが出ていてよかった。歳をとると気が滅入ることが多い。だがシミタツさんの時代小説を読んでいると、身体が衰えるのは避けられないとしても、それまで歩いた道のりの積み重ねが大きな宝になると教えられる。命のやり取りを乗り越える度量を持つ男達が人一倍お節介なのがいい。元締勝五郎にシミタツさんを重ねてしまう。また味のある作品を期待しよう。2011/04/08
BlueBerry
5
なかなか渋い設定で展開も面白かったです。意外性も結構あってその点も楽しめました。お勧めできると思います。2013/04/29