内容説明
ロシア10月革命の理念が、強権的な政治システムの中に取り込まれ、やがて権力による大衆の抑圧、さらにはスターリニズムへと至る弾圧のプロセスを、ドキュメンタリー・タッチで描き、「ロシア革命の真相」をあぶり出してゆく。手段であったはずの「革命」と「権力奪取」が自己目的化した姿は、日本における著者自身が関わった学生運動、ひいては1970年代のセクト間の内ゲバを彷彿とさせる。そして権力は必ず腐敗する、という現代にも通じる課題を提示する。
目次
はしがき 忘れられた革命を求めて
第1章 すべての権力をソビエトへ!
第2章 「プロレタリア独裁」―翳りゆく革命
第3章 「国有化」の概念をめぐって
第4章 深まりゆく危機
第5章 最期の光芒
あとがき 戦後学生運動の挽歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
15
ロシア革命、そしてソビエト社会主義連邦共和国とは何だったのか? と、筆者自身が、20代前半に体験した学生運動のモヤモヤ感に動かされて書いた本だと思う。学生運動当時、マルクス共産主義や社会主義を理想的な社会として目指していた人々にとって、ロシア革命の失敗(腐敗)とソ連の崩壊は、相当の衝撃だったのだろう。専制君主制下の牢獄から社会主義共和国下の牢獄へ。弾圧、粛清、収容所群島、ボルシェビキ政府の暴力装置は何の革命だったのか?今もロシアは謎の国だが・・・。2018/02/10
Hisashi Tokunaga
1
党は革命を起こす主体にはなり得ない。党は革命管理者。町内会でも、マンション管理組合でも、そして党も同じ。そこで、個としての闘争をいかに構想するかが始まるんでしょうね。筆者にとっては自明の結論を早く、早く提出されすぎていないのかなぁー。この結論に一直線に到達できなかった資料もあったんじゃないか?その辺どう。2013/12/05