出版社内容情報
衰えぬ人気の陰に「女」あり。新たな切り口で読み解く「令和の松本清張」。雑誌の個性に合わせて作品を書き分けた松本清張が、アウェイの女性誌で書いた小説群に着目。そこに登場する女性主人公たちを、お嬢さん探偵、黒と白の「オールドミス」、母の不貞、不倫の機会均等といったキーワードを軸に考察し、昭和に生きた女たちの変遷を映し出すと同時に、読者の欲望に応え続けた作家の内面に迫る。
【目次】
内容説明
お嬢さん探偵、黒と白のオールドミス、不倫の機会均等…衰えぬ人気の陰に「女」あり。〈女性の業〉を誰よりも深く肯定した松本清張。彼が女性誌に書いた作品群を読み解き、その予見力を明らかに。清張の「悪女と昭和」がいま甦る!
目次
女性誌と松本清張(初めての女性誌連載―『神と野獣の日』『大奥婦女記』;お嬢さん探偵の誕生―「張込み」『ゼロの焦点』;お嬢探偵の限界―『蒼い描点』『黒い樹海』『紅い白描』 ほか)
昭和の女と松本清張(殺す女、殺される女―「声」「典雅な姉弟」「内なる線影」『強き蟻』;素人悪女と玄人悪女―「一年半待て」「地方紙を買う女」『黒革の手帖』『強き蟻』『けものみち』「疑惑」;黒と白のオールドミス―「馬を売る女」『ガラスの城』『黒い樹海』 ほか)
母と妻と松本清張(清張の母、清張が描く母―『半生の記』「火の記憶」「天城越え」;女の欲望はタブーを破る―「歯止め」「鬼畜」「突風」「指」;それでも旅する女たち―『波の塔』『山峡の章』「見送って」「顔」 ほか)
著者等紹介
酒井順子[サカイジュンコ]
1966年東京生まれ。高校時代より雑誌「オリーブ」に寄稿し、大学卒業後、広告会社勤務を経てエッセイ執筆に専念。日本の女の生き方・考え方をテーマに据え、2003年に刊行した『負け犬の遠吠え』はベストセラーとなり、講談社エッセイ賞・婦人公論文芸賞を受賞。30代以上・未婚・子のいない女性を指す「負け犬」は流行語にもなった。古典作品にまつわる著書も数多く、『枕草子』の現代語訳も手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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