内容説明
迷い犬捜し専門のアウトロー探偵・竜門卓が遭遇した4つの事件。胸ゆさぶる4つの感動。追悼連作短篇集。
目次
トカチン、カラチン
ギターと猟犬
サイド・キック
悪役と鳩
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
49
「失踪した猟犬専門という信条の一線が、毎年少しずつ後退していく」優しさに満ちた連作短編集。動物ランドから姿を消したトナカイと少年を追うクリスマスの奇蹟「トカチン、カラチン」、逃げたワイマラナーと流しの艶歌師の悲哀にため息が漏れる「ギターと猟犬」、引退した競走馬と年老いた厩務員がシェパードと共に北を目指す「サイド・キック」、ストリート・ファイトの賞金稼ぎバッド天童と組んで組織的な猟犬窃盗団を叩く「悪役と鳩」など、ヤクザも暴走族も蹴散らす痛快、爽快な男のロマン。もう続編を読めないのが無念としか言えません。2016/05/16
yumiha
41
居なくなった猟犬を探す仕事の竜門とジョー(犬)のはずなのに、本書ではトナカイを探す話から始まった。でも小雪(少年)の必死さが伝わってきたし、ラストの「クリスマスには空を飛ぶんだ」にニヤリ。もうひとつの猟犬ではなくサラブレッドを追う話もよかった。ここでも老厩務員の必死さが胸に迫る。一緒に暮らせば、トナカイでもサラブレッドでも、かけがいのない存在になる。探す側の竜門もジョーも魅力的。それにしても、ビールの好きな犬がいるのね。犬って酔っ払わないのかしらん?2024/10/24
クリママ
41
前作「セント・メリーのりぼん」の行方不明の猟犬を探す仕事をする男の物語。かっこいい探偵が、プライドを捨て、猟犬だけでなく依頼された他の動物も探す。トナカイや馬の話は好きだけれど、ちょっとおとぎ話の世界。2017/03/29
ふゆ
17
この作家が好きでこの本を読みたくて、絶対紙の本でページめくって自分の本として読みたいとずっと思っていました。この喜びをどんな言葉にしたら誰かに伝わる?優しい大人のおとぎ話です。これ以上のハードボイルドはない。もちろん3ページ目から大号泣です。子供っぽい男は大嫌いだけど、少年みたいなまっすぐさに今回もノックアウト!かっこいい!2018/01/23
ジャズクラ本
14
再読◎猟犬探偵シリーズ「セントメリーのリボン」の続編。著者の短い作家人生の中でも最晩年の作品にあたる。初読時は面白さがわからず評価を無印にしていたが、著作を何冊か読んでいくうちにこの作家特有の世界観を知り、今となっては大のファン。内容は猟犬だけを捜索対象とする探偵の話だが、この作家の著作の中で最もハードボイルド色が強い。その分幻想感は他の作品より控えめ。近いうちにまたきっとワクワクしながら読み返すことになるだろうと思いつつ読了。2019/01/03
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