出版社内容情報
闇の中で、あたしたちはお互いだけを見つめていた。彼と触れあうことは、きっともう二度とない──。永遠となったひと夏の切ない恋。
どんなにたくさんの人がいても、あたしの眼はすぐに彼を見つけてしまう。あたしたちは?がったまま、橋から飛び降りた。彼と触れあうことは、きっともう、二度とない──。水面のきらめき。くもの巣。お施餓鬼の念仏。台風の日のかくれんぼ。考えもしなかった相手に心を奪われ、あの腕にからめとられてあたしは──。沈下橋のかかる川のほとりで、その夏を永遠にした恋を描く、注目作家の新境地作。
内容説明
あたしたちは繋がったまま、橋から飛びおりた。彼と触れあうことは、きっともう、二度とない―。考えもしなかった相手に心を奪われ、あの腕に、あたしはからめとられた。水のきらめき。くもの巣。お旋餓鬼の太鼓。夜のピアノ。台風の日のかくれんぼ。誰もかれもがしてきたこと。何万年もくりかえしてきたこと。読者の想像を裏切る衝撃恋愛小説!
著者等紹介
中脇初枝[ナカワキハツエ]
1974年徳島県生れ、高知県育ち。筑波大学卒。高校在学中の1992年に『魚のように』で坊っちゃん文学賞を受賞し、17歳でデビュー。2012年『きみはいい子』で坪田譲治文学賞を受賞、第1回静岡書店大賞第1位、本屋大賞第4位となった。2014年『わたしをみつけて』で山本周五郎賞候補となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
200
「みなそこ」という何を意味しているのか今一つピンとこない不思議な書名のこの作品。『りょうの細くて長い手足にからめとられることを、あたしは選んだ』という三十代の女性である主人公の佐和子が、幼なじみの長男・りょうへの危うい想いに囚われる感情が綴られたこの作品。『沈下橋』という日本の原風景が描かれたような素晴らしい情景描写の数々の一方で『高知県西部の幡多弁』の魅力というよりは、極めて難解な方言を読み解いていくことに強いストレスも感じるこの作品。読み終えて、ただただ困惑だけが強く残ってしまった、そんな作品でした。2022/02/02
ナイスネイチャ
171
図書館本。ひかげという孤立した集落で育った主人公が子供を連れて帰省し、過去の叶わなかった夢や歪んだ気持ちを綴って行くのかと思いきや、まさかの恋愛物語。しかも同級生の息子(中学生!)に思いを寄せる。恋愛部分以外は重たい内容だっただけにちょっと期待外れかな。ただこの作家さんはゆったりとした文体で、余韻を含ませ読者の中にある風景や心の葛藤を表現するのは上手だなぁと思いました。2014/12/05
ウッディ
139
娘を連れて、夏休みに帰省した故郷の村。大雨が降ると通れなくなる沈下橋の先にあるその場所には、親友のひかるとその息子りょうがいた。ピアノの練習に明け暮れた日々、ひかるへの嫉妬、それでもピアニストになれなかった後悔、そしてりょうへの想い、美しい高知の自然の中で描かれた物語。著者はこの物語で何を伝えたかったんだろう‥というのが率直な感想。親友の中学生の息子への気持ちが生々しくて気持ち悪い。ひかるや娘への罪悪感ってないのか?ごめんなさい、あまり面白くなかったかです。2017/12/09
takaC
123
自分は割とよくやられてしまうのだけど、また内容紹介にまんまと騙された気がする・・・2016/07/17
風眠
110
「あたしたちは繋がったまま橋から飛び降りた。彼と触れあうことは、きっともう、二度とない――。作家の新境地、衝撃の恋愛小説!」っていう帯の煽り文は大げさかな。失楽園的な感じで、禁断の恋に幕引き?いつ心中?って思いながら読んだけれど、「繋がったまま飛び降りた」って、手、かーい!って感じで。友達の息子(中1)との恋愛といっても禁断てほどでもなかったし。故郷の田舎の風景、家族、ピアノに賭けた青春時代、それらを振り返る感傷を綴るだけでも充分に物語として成立したのじゃないかな。男女の立場が逆だったらまた違ったのかも。2015/01/27
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