出版社内容情報
21世紀の東京で、合田雄一郎が挑む二つの事件。
赤く塗り潰された異形の部屋。モダンアートが引鉄をひいた血みどろの死体が二つ。
都心の豪壮な僧院。魂たちの眠る空間が招き寄せた死体がまたひとつ。
人はなぜ描くのか。
人はなぜ信じるのか。
そして、なぜ殺すのか?
内容説明
福澤彰之の息子・秋道は画家になり、赤い色面一つに行き着いて人を殺した。一方、一人の僧侶が謎の死を遂げ、合田雄一郎は21世紀の理由なき生死の淵に立つ。―人はなぜ描き、なぜ殺すのか。9.11の夜、合田雄一郎の彷徨が始まる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
124
晴子情歌、新リア王に続いての福澤サーガです。再読ですが前に読んだときは筋だけを追っているような感じで今回じっくり読みなおしてみました。やはり殺人事件の犯人の詳細な事件の分析などが中心となっています。殺人を犯した人物を周りの人物から細かに炙りだし、さらに公判などのやり取りが示されています。非常に重い感じがして私は読むのに時間がかかりました。後半には別の人物の事件が中心となり、ある意味サブの主人公の刑事の活躍場が増えるようです。2023/04/02
ダイ@2019.11.2~一時休止
122
合田雄一郎刑事その4&福澤彰之その3。またしても手紙の部分が旧字・・・読みにくいからやめて欲しい。下巻に続く。2016/01/20
雪風のねこ@(=´ω`=)
79
雄一郎の自問が続くのは、刑死した人の重みなのか、喜代子が亡くなったからなのか、前作で死にかけたからなのか。自分すら客観視した、というよりは幽体離脱した自身が語っているかのよう。マークスの山で産廃の山の上から初登場したときの溌剌な感じはみられず、年を取ったんだなぁという気がしてショックであるとともに、人間らしさをより感じた。2020/10/05
ALATA
71
禅寺を背景に入信者事故死事件、婦女子殺傷事件が絡まるミステリー?すでに犯人が捕まり犯行動機を検証していく過程が綿々と続き、修行僧としての矜持が語られて調味深い。事情聴取にしても禅僧の受答えはまるで中禅寺秋彦のよう・・。新リア王未読のため彰之の過去について触れるところが多々あり、読む順番を間違えた感じ。修行僧はオウム信者でもあった!?・・下巻へ ★3※私の印象としては大衆文学の直木賞作品を読み読みたかったのに、図らずも純文学の芥川賞作品を読んでしまった感じ。 2021/09/13
NAO
67
福澤家三部作の3作目、かつ合田刑事シリーズでもある。宗教家福澤秋道(彰之)のあやうさ。秋道が属する寺の中でさえ宗教に関する考え方は十人十色であり、そこにオウム真理教の元在家信者が入ってきて一波乱、そして9.11同時多発テロが世間を揺るがす。それでなくともはまり込んだら抜け出すことが困難な高村ワールドに宗教が絡んでくると、あまりにも難解かつ抽象的で、言葉の羅列の中でおぼれていくようだ。緻密すぎるほどの言葉たちが集まると抽象的になるという、なんとも不思議な世界。2017/10/01
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