内容説明
漫画の神様・手塚治虫のもとに集まった若きアニメーターたち。国産初のTVアニメなんて、ホントにやれるのか?「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」など、数々の名作アニメで人々を魅了した虫プロの興亡を、渦中にいたアニメ演出の第1人者が自ら描く、七転八倒の青春記。貴重な図版資料を多数収録。
目次
第1章 ある街角の物語 昭和35年10月~昭和37年1月
第2章 鉄腕アトム (1) 昭和37年2月~昭和38年1月
第3章 鉄腕アトム (2) 昭和38年1月~昭和39年10月
第4章 ジャングル大帝 (1) 昭和39年11月~昭和40年10月
第5章 ジャングル大帝 (2) 昭和40年11月~昭和42年3月
第6章 千夜一夜物語・クレオパトラ・日本誕生 昭和42年5月~昭和45年5月
第7章 哀しみのベラドンナ 昭和45年11月~昭和48年10月
参考資料・主なアニメ作品リスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
16
学生の頃、図書館本で読んだと記憶しています。虫プロ黎明期からの非常に貴重な記録で、労働条件の厳しさ等、小説仕立てにはなっていますが、仕事の内容とかは概ね事実に即して書かれていたようです。 私生活も破綻したり、今で言う過労死になったりとか、すさまじいエピソードが並んでいますね。 鉄腕アトムの初回の録音に5時間かかったとか、映画の仕上げを間に合わせるために2週間、文字通り不眠不休で働いたりとか、力作で、なおかつ涙がこぼれそうな、そんな本でした。1990/08/11
ヘブンリー
4
アニメの草創期がうかがえる興味深い作品だった。アニメーターの殺人的なスケジュールには驚いたが、それにも負けない熱気が感じられた。過労死による何人もの死や自己犠牲、だけどそれが単に苦しいだけで終わってないのはアニメと言う当時では前人未到の分野の創設と開拓に寄せる思いがあったからだろう。このような時期を乗り越えて今の日本アニメがあることは感慨深い。2014/08/20
富士さん
4
今まで自分の中ではっきりと捉えることができなかった、芸術と商売の狭間のアンビバレントな存在としての虫プロが具体的に明快に描写されており、今までの自分の中のモヤモヤが晴れるような気がしました。今でも虫プロに言及する際にここで指摘された以上のことが語られているようには思えません。もうちょっと積極的に利用されてもいい資料です。小説という形式がネックになっているのかもしれませんが、著者がわざわざノンフィクションを選ばなかったのは、小説の方がより多くのことを表現できると考えたからではないのかという気がします。2013/12/09
月並
1
アニメ作りの現場が聞きしに勝るほどで、思わず唾を飲み込んでしまいました。今の現場はどうなんでしょうか…。2015/08/10