内容説明
中国と日本の暗い狭間・旧満州に生れ育ち、愛する二つの国に翻弄された少女の数奇な半生と昭和史の断面!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう
12
死去のニュースで、俄然興味がわいた。プロフィールをなぞるだけでは想像できなかったが、歴史の渦中にさりげなくいたことのすごさ!!満州と中国と日本、争い支配される3つの国を愛しアイデンテティとすることの複雑さは彼女にしか語れないだろうな。 2014/10/02
りゅっく
7
劇団四季のミュージカルを見て李香蘭という人を知る。そうなったら読み漁ります。李香蘭がヘップバーンばりに美しい人物、時代に翻弄され葛藤するその半生。日本人なのに李香蘭と名乗らなければいけなかったことに言い訳じみた感じはあるが、この頃のこのような行動を責めることはできない。戦後の裁判含め数奇な人生を今の若い子たちにも知ってほしいな、大河ドラマもいいんじゃない?1991/12/01
印度 洋一郎
5
中国生まれ、中国育ちの日本人女性が中国人女優・ 李香蘭として生きた半生を回顧した自叙伝(共著者あり)。中国大陸では中国の要人、関東軍の高官、清朝の末裔である男装の麗人・川島芳子とも交流し、若くして歴史の生き証人となった。女優としても、満州と中国本土を股にかけて活動し、中国映画界での地位を築いていく。しかし、戦争末期には中国人を演じ続ける事に悩んで歌手に転進。戦後は漢奸(中国への反逆者)として裁判にかけられながらも、辛くも帰国し、戦後はハリウッドへ進出する。20世紀前半を駆け抜けた濃密な半生だ。2020/08/25
しき
5
舞台やドラマでおおよそのことは知っていたものの、やはり自伝は深い。特に、川島芳子との交流を興味深く読んだ。李香蘭は妹としてかわいがられていただけではなかったのか。全体を通して、李香蘭が何を感じたかの描写は少ない。事実を淡々と述べているところに、言い訳がましいことを言わない彼女の強さを感じた(あとがきで説明があったが)。李香蘭だけではなく、この時代を生きた人々の苛酷な人生も伝わってくる1冊だった。2009/12/31
於間抜新吾
4
李香蘭…山口淑子という名前の参議院議員の中国で活躍していた頃の名前、というぐらいの知識しか、そして美貌の女優さんという認識ぐらいしかなかった。本書を読むと日本の軍人の居丈高さに辟易してしまう。それは李香蘭やかの地での川喜田長政氏をはじめとする日本の映画人もそうだったようだ。ともかく漢奸の汚名を着せらずにすんだのは中国の優しい法曹界の人のおかげであるし、日本は未来永劫侵略戦争に手を染めるべきではないと思った。2021/10/28