出版社内容情報
部屋から出られない息子のために、家族は何ができるのか。「引きこもり100万人時代」を生きるすべての人に捧ぐ、希望と絶望の物語
内容説明
「父さんと死のう」 息子が部屋から出なくなって七年。このままでは、家族が崩壊する―。「引きこもり100万人時代」に生きるすべての日本人に捧ぐ。絶望と再生の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
630
林 真理子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、8050問題に正面から取り組んだ作品というよりは、5020引きこもりサバイブ・リーガル・ファミリー物語といった感じでした。引きこもりのリアルを昇華したエンタメ小説です。 https://www.shinchosha.co.jp/special/8050/2021/05/20
ミカママ
593
世相的にタイムリー(出版当時)と思い手に取ったが、これはタイトルのミスリードではないか。実際の8050は冒頭にチラッと出てきただけでそのフォローもなく、物語への警笛としてのみの無駄遣い。肝心の本作については、主人公である父親役があまりにもブレブレでハラハラさせられ通しだった。とはいえさすがの真理子女史、全編渡ってテンポよく、登場人物たちの心情に沿っての描写がさすが。ただなんとなく彼女は本当にこれを書きたかったのだろうか、という疑問もある。昔みたいなグダグダの恋愛モノみたいなのはもう書かないのかなぁ。2025/08/03
bunmei
414
社会への不適応から、引き籠りになる成人が年々増加している。本作は『8050問題』となる前の『5020』の段階を描き、親子が悪戦苦闘し現状打開していく話。その方法として、引き籠りの要因となった7年前の中学校での息子へのいじめを、改めて裁判で争ことに…。こうした一要因がいじめというのは否定しないが、最近、あまりにもレジリエンスの低い子供や家庭が多く感じる。その根底には、過保護や過剰期待、片親任せ等があり、本作の家庭も然りである。短絡的な本作のような解決方法には、共感はできない。それぞれの責任転嫁とさえ感じる。2021/09/10
うっちー
388
初めて林真理子さんの骨太小説を読みました2021/08/30
エピファネイア
361
中学時代にいじめにあったことが原因で引きこもりを続ける青年と家族の苦悩を描いた小説。我が子が引きこもりになったら自分ならどうするだろうと思いながら読み続けた。なぜ翔太は高田弁護士には心を開いていったのか。彼は翔太に向き合ったのではなく寄り添ったのだと思う。家族の誰かが中学時代の翔太にもう少し寄り添っていれば違う状況もあり得たのではないか。引きこもる人が非常に多いという現実を考えるとそんな簡単なことではないのでしょうが。SNSの普及で心を殺すような陰湿ないじめが起きやすい環境になっていることが恐ろしい。2021/07/12